『ケルベロス第五の首』

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

リーディングバトンに書いたら感想を書くのをすっかり忘れてしまっていました。レリ(id:reri)さんお薦めで貸してもらったもの。とても面白かったです。
翻訳文って、やっぱり日本語で書かれた文章よりもちょっとひっかかるというか、すんなりと読めないのですが、それが逆にイイ!と思いました。この人は(原文を知りませんけれども!)文体も独特で一文が長いので読むのにかなりの集中力を要したのですが、これくらいの集中力でもって読んだほうが読書って感じがしますね。きちんとジックリ相対した感が残ります。
私の個人的な好みとしては、やはり2作目のワケのわからなさ、インディアンぽいネーミング、血なまぐささ、などを推したいところ。

表題作の主人公が「第五」(めぐみの?)と名付けられるあたり、かなりグっときました。く、首だったーーみたいな。育てられ方とか、ハァハァです。表第作はかなり萌えに近い感性で読んでしまった。倒錯した血縁関係(っていうのかしら)も、到達しえぬと思われる彼等の目指すところも、退廃的で素敵です。自分達のルーツへの諸説とかもあつい。
ていうか、この本全体的に、なんていうか、退廃的なエロい空気が漂っているように感じたのは…私の頭がおかしいのかしら…でも…な!
でもって、感想をレリさんにお話していたら「実はあの3作は通してあるひとつの物語りになってるらしいですよ」的なことを言われて驚愕。ええええー。全然違う世界観やんか!全然気付いてなかった!!!なんか大森望さんがそう書いてらしたそうです。じゃ、じゃあ再読しなくちゃじゃないか。

具体的な単語名を忘れてしまったのですが、あれですか。原住民と、最初の移民とかそのへんが2作目とか。そういう???そんな単純な話しじゃないのかなぁ。
読みやすくて共感しやすい文章に飽きた人は、こういうのを読んでみるといいのです。