わざと炬燵で眠るしあわせ
大人になるって、自由って、すてきね!!
『オルタードカーボン』リチャード・モーガン
- 作者: リチャードモーガン,Richard Morgan,田口俊樹
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (80件) を見る
27世紀、人は魂をデジタル化することに成功している。肉体はスリーヴと呼ばれる魂の入れ物であり、デジタル化された魂はバックアップによって蘇ることが可能となる。実質的な不老不死の実現した世界。
ただし、金持ちにとっては。
魂の再生は、首の付け根のスタックと呼ばれるメモリーカードみたいなもんさえ無事ならばできる。けれども、死んだ人間のスリーヴを保持することも、新しいスリーヴを手に入れることも、魂のバックアップをとり続けることも、莫大なお金を必要とする。
最初、このスリーヴとスタックという設定の時点でゴーストktkrとハァハァしたのですが、当然のようにある貧富の差、実質的な不老不死を手に入れることができるほどの金持ちのメンタリティーのありかた、そしてなによりも、かつては他の誰かの魂が入っていた肉体(スリーヴ)に、他の誰かがダウンロードされるということの残酷さ、に、私はガツーンとやられました。おもしろいーーーーー。貧乏人の美しい娘の肉体(スリーヴ)を金持ちが買い上げて自分の肉体にしちゃうんですよ。ほいでもって、貧乏人は安い人造スリーヴだったり、人種はもちろんのこと、性別すら違うスリーヴだったりをあてがわれて再生されるんですよ。そして、カトリック教徒は魂の再生を禁じているとかも、面白いーー。
あれですよ、殺人事件がおきても殺された人を再生させて証言させちゃうんですよ。ほら、そうなると、完全犯罪って、どうやるの?って感じになってくるでしょう? わくわくするでしょう? 『生ける屍の死』と同じくらいわくわくしました。わくわく。
色々と肩透かしな点も多かったんだけど、でも私はとても楽しめました。あ、妙にセックス描写が激しかったのが予想外だったかな。拷問シーンもひどい(死んでも死んでも再生させて拷問し続けられる)ので、そういうの苦手な人にはダメかもしれない。『独白する〜』を読んだあとだったこともあって、私は眉間にちょっとコジワを寄せる程度で読めました。 「肉体はただの魂の入れ物である」という前提に根ざした物語の、この結末は、とても好みです。
続編は火星絡みだそうで。今回火星関係の説明が全然なかったので、楽しみです。エンヴォイ時代の話とかもそのうちに出るに違いない。
しかし映画化かー。何年後か知らないけど。うーん。脚本に恵まれますように!