『内なる宇宙』 J.P.ホーガン

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈下〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈下〉 (創元SF文庫)

シリーズ最終巻。星雲賞受賞。
ちょっとこの本は、読み方を失敗してしまったな、と反省中。一気にワクワクしながら読むべきだった。エンターテイメントものを読む時には、イキオイが必要だ。色々な要素が重なって、小出しに読了した結果、どーもイマイチ感が残る。
お馴染みのメンバーたちに関しては、特にこれと言っていうべきことはない。安心できるキャラクターたち。ガニメアンと、コンピューターがどんどん地球人的になってきていて、それがちょっと可笑しい。テューリンよりも地球人に近いんだなあ、とか。
ヴィザーを始めとするコンピューターたちの人格(?)がすごく愛らしい。下手すると、人間よりもずっと。これは、あれかな。犬的忠義心に私が魅力を感じるからかな。今回のヒロイン、ジーナは、あまり魅力を感じない。
で。肝心のトリックというか、今回のキモとなる仕掛け。
【注意】以下、決定的なネタバレあり【注意】
これが、難しかった。なんとなーくはもちろん理解しているのだけれども、ちょっと理屈が難しすぎて具体的に想像ができない。情報の中に生じた別宇宙っていうことはわかるんだけども、その発生のメカニズムがさっぱり。
このシリーズのパターンに、おぼろげに真相が見えるんだけれども、理屈が通らない→ハント、もしくはダンチェッカーが明解に説明、みたいなのがあるのだけれど、今回はその明解な説明が明解じゃなくて厳しい。もっと勉強してから読むべきだったかしら。
シリーズ4作目ともなると、お約束な部分が楽しかったり、またか、だったり。ひとつの結論(真実、でも事実でもいい)に向けて、異なるアプローチが時期を同じくして辿り着くっていうのは、おそらく現実においてもよくあることなのだとは思うのだけれど「あーまた同じ結論に達するんだろうなあ」というような予定調和をちょっと感じた。
どうも、イマイチな読了感なのでした。私的ナンバーワンは3册目だな。うん。