『りかさん』 梨木香歩

りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)

この人の本といえば、西の魔女がどうちゃら、という平積みされている本のイメージがありまして。平積みされている本は敬遠しがちな性質の私としては、どーもなーイイコちゃんっぽい本なんじゃないかなーと思っていたのでした。お婆ちゃんと、うまく自分の人生を乗りこなせずに入る少女のハナシでしょー、んー読む前から想像つくなーというような。
でもって、このりかさんも、お婆ちゃんがでてくるっぽかったので、どーも、なんというか、期待していなかったのですが。
面白かったー!私の偏見のバカバカ!!


りかちゃん人形が欲しかった主人公の少女の元に、お婆ちゃんがプレゼントしてくれたのは、お人形の「りかさん」。最初はガッカリしている主人公なのだけれども…というお話。
もちろん、主人公とりかさんは意志の疎通ができるようになるのですが、その疎通の自然さが正当派な児童文学っぽくて意外にスンナリ。
この作品の中でのお人形の役割、というものが、これまたすごく良かったです。人形というと、どうしても気味が悪いイメージなのだけれども、この本を読むと考えが変わります。
あー。そういうことも良いんだけど、お話が良いんだなあ。色々なことが、とてもさりげないんだなあ。アビゲイルの話も、悲しい話なのにひきずりすぎない。すごく、引き際を心得た物語。
で。後書きかなんかで知ったのですが、この人は児童文学の人なのでしょうか。この本も、推薦図書のような香りがしていました。でも、押し付けがましくない。中学生に読ませたいなあ。と思える本でした。
『からくりからくさ』をぜひとも読もう、と思います。