読書日記 『仮面山荘殺人事件』 東野圭吾
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/03/07
- メディア: 文庫
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で、これ。面白かったです。正統派にミステリー。途中で「こりゃ、こういうことだろうな」と気付くのだけれども、気付いても最後まできちんと面白く読むことができた。
ミステリーをある程度の数読むと、本当に最後の最後まで作者が仕掛けたことが見当もつかない、ということはまずもうなくて、そうなるとミステリーの楽しみというのは
・いかに読者の予想を裏切るか
・犯人がわかる、とか、トリックがわかる、という部分以外の謎をどう作るか
になるんじゃないかと思うのだけれども。
この作品は、フーダニットはフーダニットでも、ちょっと変わったフーダニットになっていて、もう本当に「仕掛け」というにふさわしい作品。
<以下、ネタバレ>
私は検証をしないタイプなので、ちゃんと読み返していないのだけれども、この作品の前半は、ルール違反していないんだろうか。なんか、ちょっと「えーやっぱりそうなのー?うわー」と思った。犯人が誰か、ということに関しては。ピルケースの云々は、なんというか、小手先なのでどうでもいい。
強盗の仲間が少なくとも身内にいる、ということは、SOSを消したとかなんとかの前にわかる。なんでわかるかは忘れちゃったんだけど。ただ、それが誰なのか(ホストだろうとは思ったけど)目的はなんなのか、がわからなかった。この作品の仕掛けは、まさにそこなので、作者の意図通りに読んだことだろうと思う。
問題は、協力してくれた劇団の人間たち。そ、そんなにうまいことできるもんかなあ。劇団の人間だって言えば解決、みたいなの、ちょっと納得いかない。元演劇畑の人間として、納得いかない。あと、脚本ね。そこまで幾重にも罠をはれるもんかなあ。そこまで計算通りに行く???
面白かったから良いんだけど。
余談だけど、後書きの解説を読んだら、叙述トリックのミステリーの例がいくつかあげられていて、むさむさ頭にきました。叙述トリックだってことをバラしても、それがどういうトリックかを言わなければ楽しめるっちゃー楽しめるのかもしれないけれども、やっぱり叙述トリックは不意打ちであってこそ楽しめるものなのに。ひどい。