読書日記 『龍臥亭事件』 島田荘司

龍臥亭事件

龍臥亭事件

<ニュースの途中ですがネタバレ注意報です>


御手洗がでてこない御手洗シリーズになんの意味があろうか!とキャラ読みの私は主張いたします。石岡(だっけ?)がどんなに頑張ろうが自信を回復しようが関係ねえよ!異邦の騎士から繋がる御手洗の持つ心遣いの表現だったとしても、この作品で彼等の関係が抱えていた「ホームズとワトソン」的な問題(つまりそこには厳然と上下というものが存在してしまう→友人と呼べるのか)がひとつの結論を出したことになろうが、そんなことは1ミリも関係ない!御手洗をだせー!!石岡の解決なんかで納得いくかー!何か見落としているに決まってるんだー!!
というのが、率直な感想でした。
トリックに関しては、いいのです。斜め屋敷のような奇想天を突くトリックはもう望みません。島田は好きなように思い付いたことをトリックとして書けば良いと思います。
でも、それを解決できるのは、御手洗にしてはもらえまいか!!そうでなくては無理のあるっぷりが際立ちすぎる!
途中にはさみこまれる都井の事件に関する小説仕立てのエピソード。あれは、ちょっとそういったキャラ読みと別の次元で「オヤオヤ」と思いました。同じことを重複して書き過ぎ。ミステリを書く人間が、伏線や人物描写をサラリと書けなくなったらおしまいなのではないかと私は思います。何気なく書かれた1単語からフェアーな結論を導き出すのが本格(だか新本格だか)じゃないのか。ちゃうのか。作家が読者に印象づけたいと思っていることが「ああ、印象づけたいんだな」と読者に悟られるようでは全然だめだと思います。(これはミステリーに限ったことではないけど)
つうか、あの部分は郷土史の研究家のオッサンが書いたという設定なのかもしれないけれども、それにしても杜撰すぎる。