女に愛される才能

TAKEX(id:takex)の2月15日の日記(id:takex:20040215)
と、そのコメント欄を読んで。別段内容は直接関係ないけど、思い出したので。


私の大学時代の友人に、とんでもなくセクハラな男がいました。
彼は酔う必要なんてまったくなく、シラフのままで、朝あったらオハヨウのかわりに1揉み、並んで歩いていると、いつのまにか手をえっち繋ぎ(って通じるのかしら。指を、こう一本づつ交互に絡めて繋ぐことですよ)、会話の相槌かわりに1揉み、ベンチに座っていると後ろから抱きつき…と、本当に常にセクハラという有様でした。
そして、これが肝心なことだと思うのですが、彼はとんでもなくブサイクだったのです。
ものすごいお金持ちの息子でしたが、そのお金持ちを余すところなく伝える悪趣味な服装をしていましたし、ボクサーくずれの目つきは鋭く、姿勢も悪く、本当に一緒に歩きたくないタイプぶっちぎりだったのです。



ところが、彼が、すんごいモテたのです。



いや、すんごいって言っても、女子が全体の8割を占める環境だったことや、演劇専攻という特殊な環境(四年間ずっと部活をしているようなものでした!そこは楽園というにふさわしい!)で仲間意識が強かったことを考慮すると、普通にモテた程度だったと言っていいかもしれません。
でも、少なくとも私が知っている限りで6人の女性が彼に惚れておりました。
ここでひとつ断っておきたいのは、彼はお父さんがカジノで1晩で億単位のお金を勝ったり負けたりする規模のお金持ちではありましたが、それはモテという要素になにひとつ加味されていない、ということです。なぜならば、私がいた学校はちょっと引くくらいのお金持ちがゴロゴロいる学校だったから。リアル有閑倶楽部を作るならここかしら?という学校だったからです。カマロで通学て!
むしろ彼のお金持ちっぷりは、服装のと部屋のインテリアの成金趣味という最悪の方向でのみ花開いていたと言って過言ではありません。


どうでしょう。普通に考えて、オハヨウのかわりに1揉み、という成金ブサイク男がモテる、というか、そもそもその行為が許されるという環境事態がありえないんじゃないか、と想像するのですが。漫画だったら確実に嫌われ者の弱虫キャラじゃないですか。この設定。
ここを読んでいらっしゃる容姿に問題のある男性陣が勇気を出して職場や学校でこういう行為に出たら…と想像してみてください。キチガイを見る目で見られるか、もっそいイキオイで嫌われるか、どちらにせよかなり破滅ロードを一直線になるのじゃないかと思います。
でも、彼はそうはならなかった。むしろ人気者でした。男にも女にも。
それは、なぜか。
実はこれは、本人含めた私たちの間でも「謎だよね」とされていることなのですが。私たちが出した結論のひとつは



彼がセクハラをした相手は実は「しても許されるコ」に限られていた



ということです。どうやって許されるのかどうかを見抜いていたのかはわかりません。本人もわからないそうです。処女か非処女かということはフィルターではなく、また彼氏の有無もフィルターではなく、シモネタを許すかどうかもフィルターではありませんでした。どんなにノリが良くて軽い女の子でも、手を出さないコには徹底して手を出さなかったし、どんなに育ちが良くて処女で真面目な女の子でも、手を出すコにはとことん出しておりました。
彼は、純粋に、本能で見抜いていたとしか思えないのです。


どうして許されたのか、というのは、わかりません。私は思いっきりセクハラされるグループだったのですが、彼以外の誰にやられても大嫌いになっていたと思います。オハヨウもみもみ なんて…えーと今軽く知り合いの男性で想像してみましたが、そもそもそんな行為をする想像がつく人が存在しませんでした。



ただ一つ言えたことは、彼は、すんごくうまかった、ということです。



いやいや、セックスとかしていませんですよ。手を繋ぐのがうまかったし、胸を揉むのもうまかったし、抱きつくのもうまかった。ということなのです。
後者2つはともかくとして、手を繋ぐのがうまいって、そうそういないと思うんですよ。でも、すごく気持ちの良い繋ぎ方だったのははっきりと覚えています。ボクサーだったから力の加減がうまかったのかもしれません。
やだーもーやめてよーと言いながら、本気では拒否しなかった理由のひとつは確実にここにあります。


ああ、あと、そこに恋愛感情が存在しないと確信していたというのもあったかもしれません。なんていうか、あわよくばヤらせてくださいという雰囲気はバリバリであったし、ひまさえあれば「やらせろよーなんなら紙袋とかかぶっててもいいからさー」などと失礼千万なことを言ってきていたけれども、そこには恋愛しましょうという雰囲気はないというか。
その距離感が、危険なのに安全という微妙な関係を作ることに成功していた要因なのかもしれません。いわゆる下心はあったけれども、それはとてもドライで付き合いやすい下心であった、ということです。


彼は、それらを本能のみで行っていました。彼は不器用だったし、頭も顔も悪かったし、親は土地転がしの成金で服装の趣味も最悪でした。でも、愛すべき何かがありました。これはひとつの才能だったのだと思います。女に愛される才能。女を喜ばせる才能。



彼は、心身ともに、女の子を気持ちよくする才能の持ち主だったのです。



セクハラをしてもモテる。暴力をふるってもモテる。そういう男の人たちに共通するのは、この才能なんじゃないか、と私は思います。これはこういう男性に実際に接したことのある人にしかわからないことなんじゃないかと思います。でも、そういう男は確実に存在するのです。


そして、この才能を持っていない男性は、間違ってもそういう男性を真似しようとしてはいけないと思うのです。才能の有無の判断は今までの人生を振り返ればおのずと明らかなことと思います。
だめんずになろうなんて考えても、だめんずになる才能の有無というのはピアノの才能と同じくらいはっきりしているのです。そもそもなろうとしている時点で無理です。よしんばピアノに触れていないから開花していないだけだったとして、ピアノに触れる環境に自然にならなかったならば、それは才能がなかったも同然だと思うのです。才能には「環境を導いてくる」ということも含まれるものなのです。


えーとまた例によって何を書いているのかわからなくなってまいりました。なにか無根拠に断言していますが、結局なにが言いたいかって、



彼とセックスしてたらきっとすっごい気持ち良かっただろうなー



ってことなのでした。若気はいたらしとけ!