『マスターアンドコマンダー』


物語 ★★★★☆
映像 ★★★★★
演技 ★★★★★
総合 ★★★★★
一言感想:良くも悪くも真面目な映画
私はこの映画を観たくなくて、それは子どもが出るからで、予告編からしてその子どもたちが怪我をして、しかもそれをちゃんと痛がっているようだったので、それによって泣かされてしまう映画じゃないかと危惧していたからなのでした。
でも観たら面白かったよ。
一緒に観た家族はみんなもっと血沸き肉踊る冒険活劇だと思っていたらしくて、観終わってから「ちょっと重たかったね」とか言ってましたが、私はもっと「泣かせるぞコラ」映画だと思っていたので「ちゃんと作ってたなあ」という感想。
あと、メガネで白衣で生物オタクな船医がでてくるのでそういう嗜好の人にはおすすめします。
ああ、ただ、この映画は船上での医療シーンが頻発していて、そういう意味で信じられないくらいに痛いシーン満載なので、そういうのがダメな人にはダメです。ご注意。


<以下ネタバレ>


船医がむちゃ好みで死にそうでした。んでもって楽器とかたしなんじゃってるのね。士官候補生っていうのはつまり貴族なわけで、そういう階級意識というものがどうして破綻せずに存在できたのか、というようなことが言外に伝わる映画でもありました。
(そしてやがて破綻するわけですけども)
副艦長が、すっごい見覚えあるんだけどどの映画の誰だったか。かつてドラゴン紫龍を愛していた私としては(黒髪でロンゲはオタク女子のハートをがっつりキャッチという時代だったのですよ)かなりの萌え。その映画よりもこっちの映画のほうが数倍良かったです。
乗っている少年兵(というか士官候補生)たちがこの映画の第二の主役なのだけれども、彼らの一生懸命さとか、幼さとかが、ちゃんと映画の中で生きていて、幼さだけをクローズアップしているようなちょろい真似をしていなかったのは最高に評価できるところでした。
ただまあ腕をちょん切るのにあの程度の反応じゃないんじゃないかなーとか。コインうめちゃうのとか、すごいね。セルフ手術もすごかった。
ガラパゴス島をめぐる悶着のあたりとかも良かったんじゃないかな。任務がそんなに大事かよ!ってそりゃあ大事でしょ、みたいな。ああ、手術のために目前のアーケロン号を見逃して上陸する云々よりも、探検の最中にみつけちゃって、籠を全部捨てて知らせに戻るシーンに涙しました。悔しいね、悔しいね。(映画的には泣くシーンじゃないです)


2時間くらいの映画なんだけれど、3時間くらいの内容が盛り込まれた良い作品でした。でもだれない。観てよかったです。