『殺意の集う夜』 西澤保彦

殺意の集う夜 (講談社文庫)

面白かった。西澤の本はSFタッチのあるものしか読んだことがなくて、そのSFっぷりが好きだったんだけど、これはこれで面白い。パズラーにはオススメ。『人格転位〜』も『死者は黄泉〜』もかなりパズル要素が強かったけど、今回のパズルっぷりというか、がちーんとハマる感は、他とはちょっと違うんじゃないかと思う。
賛否両論の一冊みたいだけれど、私はすき。最終章が最終章していて。たまにはこういうものを読まないとネ、みたいな気持ち。ぶはは。

以下、はげしいネタバレ

崖崩れが狂言なんじゃないか、つうことは、最初から私は疑ってましたよ！ムフーン（鼻息）ただ、問題はなぜ彼等がこの別荘に集っていたのか、というその目的なわけで。
いやー。いやー。びっくりしちゃった。新聞の占い欄かよ！！！！！笑っちゃった。くしくもヤマグチがFolioで書いてた短編に対して「占い欄にそんな力があるか」とか言ったことがある身としては、なんともかんとも。
万理がつぎつぎと人を殺すシーンは面白かった。あと、殺したのに生きてたー！？ってところ。五百棲が。思わずページをもどして死を確認していることを確認しちゃった。

あれ？と思ったのは、遺書。よしこ、って読めるか読めないかギリギリみたいなのが伏線として生かされなかったのが肩すかし。これはたぶん、万理が書いたんだよね？もちっと生きるかなーと思ってたので、残念。
あとは、喜子や園子が万理と先生の関係を知った経緯かな。ある意味で新聞の占い欄のせい、というのは納得がいくというか、仕掛けとして、そうきますか！と思ったんだけど、喧嘩相手でしたーっつうのは、あまり美しく無い。パズルとして、ここだけとってつけた感。
でも、基本的に満足。楽しい読書でありました。