『カタコンベ』 神山裕右

カタコンベ

カタコンベ

江戸川乱歩賞受賞作。毎度のことながら、帯を見ずに読むという芸当をかましました。へー。洞窟の話なんだーって思いながら読了したら力いっぱい帯に書いてあったよ。
つか、この帯はネタバレの域だぜ、おいおい。まあいつものことだけどさ。
作者にケイビングの経験がない、というのは驚き。てっきり実体験を元にしてるんだと思ってた。へー想像だけかー。


感想としては、いまいち。つまらなくはないけど、なんつうか、もっとやりようがあるよねーというところ。江戸川乱歩賞だからなあ、で終わりです。もっと上手に構成とかしてくれたら、絶対に3倍くらい面白くなるのに。
そして、毎度のことながら、巻末の選考者のコメントがとっても面白い。選考者のコメントって、選考への姿勢が見えるよね。ほんとにね。


以下ネタバレ含みます


入れ子構造で、どれが誰なのか、最初はわからない、という効果があまり劇的に暴かれないのが私としては不満。そこはやっぱりもっとひっぱるとか。推理しないとわからないとか。そういうほうがいいんじゃないのーと思いながら読みました。
柳原助教授だっけ。あれとか「死んだと思ってた人が生きてた」パターンとしては最悪の部類だと思います。だって、「実は生きてるとしたら、この人だな」っていうの一人しかいないし。
過去の怨恨関係が薄いしね。あと、ヤマイヌどうなの、あれ。なんかラストでももう一度ふってたけど。どうなの。
ただ、見殺しにしちゃったお父さんが生き抜こうとしていた、というエピソードはすごく良かった。私のツボだった。