『翼ある闇』麻耶雄嵩

翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)

翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)

うひゃー!!なんじゃこりゃー!!予想の超斜め上いきましたよ、これ。すごいな。人間が描けてないとか、そんなことはどうでもよろしいよ。なにその人間が描けてないって、という気持ちになるよ。アンチミステリーっていうよりも、アンチ小説。適当なことを申しました。えへへのへ。
しかし読むのに時間がかかりました。租借しないで読めば早かったんだと思うんだけれど、京極の妖怪薀蓄みたいなもので、咀嚼しながら遅々としたスピードで読んでこそのカタルシス。いや、ほんとまじでカタルシス。途中までは「これって日本版『フーコーの振り子』?」とか思っていましたが。とんでもない。
以下ネタバレにつき反転してお読みください。

神の視点のおかげさまで、メルカトル鮎の解決編にはさすがにドンデン返しがあるだろうと思っておりましたけれども。エピローグすげー。アナスタシア様かよ!!!頼朝と実家って時点で名前に特徴がありすぎて怪しいと思ったんだけど。まさか、さあ。ねえ?
わかりました。今後麻耶ミステリーは誰と誰が実は親子(血縁関係)か、ということを考えながら読めばいいんですね。
つか、木更津の推理の中の、夏蜜柑の種のくだりが、すごい面白かった。霧絵たんが夏蜜柑もって地獄の門までいって、穴から夏蜜柑はいらなくてちょっと考えてから、むきむきして、種だけ出して穴から投げ入れる様を想像したら、かなり萌えた。ハァハァ
探偵は探偵たる役割を与えられたに過ぎず、本編内で語られたことのみに基づいた推論は所詮はミステリ的解決でしかありえず、香月ですら、私たちの前では傀儡に過ぎない。なんちてなー!!!
メタ好きにはたまらない一作ですね。