『I'm sorry, mama.』 桐野夏生

I'm sorry,mama.

I'm sorry,mama.

おもしろこわかったー。女のこういうドロドロした気持ち悪いの、本当にうまいな、この人。
ただ、今回はちょっと浅いというか、軽いかなと感じました。特に後半。前半、さまざまな人たちが現れてはエピソードを披露して、織り成していっている物語が、後半は収束にむけて一直線というか。あれ?もう終わっちゃうの?という感じが強い。
っつーか。ひでーなー。この話。
以下、ネタバレをまぜまぜして感想。読みたい奴は反転しな!


冒頭、いきなりものすごい夫婦が出てきたー!と驚きました。なにその25歳差夫婦。なにその赤ちゃんプレイ。


てっきり、このひとたちの物語が始まるんだとばっかり…なのに、なのに、あっさり死んだよー!ままー!!アイ子こわいよーー!!なんで殺したのーーー!!!ほいでもって、そのあとに出てきたのは女装趣味の爺だよーーー!!
予想よりも遥かにすごい年寄りたちがいっぱいでてきて、なんていうか、醜い。醜いを見せるという悪趣味な面白さ。もともとが醜さを描くのが得意な人だから、今回もお得意の、という感じです。
って、ここまで書いて思ったのですが、結局のところ、アイ子が(読者にとっての)最初の殺人を犯した理由は、星の子学園にいた人を消してしまいたいから、なんですよね。人を殺すということへの罪の意識のない人間の描写、という意味ではエキゾチックすぎず、かなり良かったなあ、と思います。逃げればいいだけなのだ、っていうの。私はてっきり、アイ子は頭の回転の速いすごい人なのだと思っていたので、ずこーとなってそれが面白かったです。
ていうか、最初は普通に「復讐の理由」が存在しているもんだと思って読んでたからなー。化け物の意味を取り違えていました。
ただ、あれです。実の母親と知って悔恨するところ。あそこがなー。求め続けていた「ママ」と良心の起動かー。うううむ。単純すぎやしませんかね。描写の問題なのかなー。どうも、安易に感じられました。怪文書の送り主がお母さんだっていうのもねー。なんか、このへんのツメを甘く感じますよ。具体的にどうとは言えないけど。
あと怖かったのは、クリーニング屋の双子かな。奥さん可哀想。女社長の話の顛末とか、ちゃんと読みたかった。そう。そういう、投げ出された話ばかりで、読了してからどうもお尻のすわりが悪い。出だしではアツ子が出てこないのに、最終的にはアツ子の話で終わってしまう、とこが私の不満なところなのかもしれません。群集でつづっていくなら、アツ子だけじゃなくて周囲もちゃんと終了させてくれよ、という。
つか、みんなきもいよ!ヌカルミハウスってなんだよ!泥の会ってどういうセンスだよ!女はみんな化け物かよ!