『茨の城』サラ・ウォーターズ

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

面白かった!とにかく面白かった!私はもともと、丁寧に書き込まれていて、構造に凝っているタイプの小説が好きということもあると思うんだけれど、ぐいぐいと引き込まれて読んでしまいました。
『半身』もかなり面白かったけどこれも良かったです。この人うまいなあ。なにがうまいって、微妙な心情の描写というか、変化していくさまの描写と、視点の切り替えによる描写です。くー。ページ数を無駄に使ってないよ。

どんでん返しにつぐどんでんか返し!そして色々展開しても、最終的にどう落ち着くのかがよく見えないという…!素晴らしいなあ。ハッピーエンドならこうだろうけど…でもこれをどうやってハッピーにもっていくんだ…?どうやって解決するのかが、かなり最後のほうまで見えませんでした。
あと、私的なヒットは、お母ちゃんです。ああ、お母ちゃんというものは…と泣けました。産みの娘を選んだかと思いきや、やっぱり育てた娘も大事なんだね、最後は生んだ娘に心を奪われていたけどさ。でも、真実を告げないところとか、すごい良かった。
不満点としては、モードがどこまで世間から乖離した特殊な人格をしているのか、というのがイマイチわからなかったことかな。でもこれは私の知識とか読解力が足りないのかも。
まあ、またしてもそんなレズ展開か!という気持ちはもちろんありました。だから、まあ、この次作がどうなるのかっていうのは要注目だとは思うのですが。とりあえず、これは買いです!
んでもってこれは余談なのですけれども、この本を買ったのがLIBROでして。ブックカバーがね、巌窟王のブックカバーなんですよ…。もう「紳士」が伯爵にしか見えない見えない。萌えることこのうえありませんで。一人で悶絶しながら読みました。