『リプレイ』 ケン・グリムウッド

リプレイ (新潮文庫)

リプレイ (新潮文庫)

おもしろかったーーーー!SFはやっぱ楽しいなぁ。
人生の、ある時点までいくと必ず死んで、過去に戻って人生をやりなおさなくてはいけなくなる男の物語。
もちろん時間の環が閉じて繰り返してしまう系の本はいくつか読んだことがあるけど、これが一番面白かったかもしれない。
あー、いや、どれも面白かったな。このテの閉塞した世界に、どうオチをつけるのか、何もかも破壊してしまうのか、メタ解決をするのか、閉塞から抜け出す手段を見つける旅にするのか、閉塞よ永遠になのか、などなどなど、は大変に私の興味をひきます。どう転んでいっても、ウキウキワクワクしながら読める。
それでもやっぱり何度も繰り返す、数時間とか数日ではなく「人生」を、飽きさせずに読ませる上手さを考えると、これが一番って言えるかもしれないな…
以下ネタバレ含み
ただ、最後の最後のオチは私には不満。それは、良い悪いではなくて、好き嫌いの問題だと思います。途中までは、めちゃんこ好きでした。

特に、もう一人のリプレイヤーに出逢ってからが素晴らしい。彼女の存在への気付き方(しかし、あの『星の海』だかなんだかという映画はさっぱり面白そうじゃない)もスマートだったと思います。子どもを持ち、失う絶望の描写も素晴らしいし、喧嘩別れと、奇跡的な再会も素晴らしい。
特に、復活前の彼女と、わかっていつつも付き合い始めてしまう主人公と、そのことを怒る彼女の、なんていうか、別人だけど同一人物で…というあたりは思わず唸ってしまいましたよ。
私なら、きっと付き合っちゃうよなー。
弱いなと思ったのは、三人目のリプレイヤーの存在の処理かな。「どうしようもない」という結論を出すしかないし、それをどうにかしようとした回は、あの悲劇的な回だったし。
結局のところ二人の存在もどこかのリプレイヤーの作った平行宇宙のどこかのお話でした、というオチ、と私は解釈したんだけれど、それであってるのかな。次の人は1988年から始まってたから、えーと、次なるリプレイヤーなのか。あれ?あーこの時代担当はこの人、とかってなってるってことか。
このオチは「他の人にも起こりえる」ことを示しているわけで、それは私のように現実と妄想を混同しがちな夢見る夢子さんにとっては恐怖だから嫌いなのでした。か、かんべんしてくれー。
読んで良かった。満足です。うむうむ。