『エレキ隊』 Afro13

Afro13(http://www.afro13.net/index02.htm
エレキ隊(http://www.afro13.net/)<音が出ます

【Date】
 2005年5月27日(金)〜29日(日) 計 5ステージ
 27日(金)7:30
 28日(土)3:00 / 7:30
 29日(日)1:00 / 5:00
【Place】
 東京芸術劇場小ホール1
 東京都豊島区西池袋1丁目8番1号
 HP:http://www.geigeki.jp/
【Price】
 全席指定≪前売≫
 A席 2980円
 B席 1980円
 学割  980円
 全席指定≪当日≫(売り切れた場合はご用意できない場合がございます)
 全席 3000円
 学割 1000円

面白かったです。
今回もちょっとした関係でご招待いただいた舞台だったのですが、これならお金を払っても惜しくないと思える舞台でした。招待してもらったお世辞からじゃなくて。そうだな。2000円でこれが観れるなら超大満足です。3000円はちっと高いか。でも良心的。先週の地球ゴージャスの『クラウディア』よりは100倍面白かったです。(でもクラウディアは一番安いチケットでもこの芝居の指定席よりお高い)

どんな芝居だったのか

舞台は「アサヒの国」という似非ニッポン。政府とレジスタンスが戦っているところに、悪魔星と呼ばれる彗星が近づいてきて…という感じの、いってしまえば「ありがち」な設定です。
主人公はエレキ隊という男の子4人組。バカでかっこつけーで、強いけど弱くて、みたいなこれまたありきたりな設定。悪魔星から悪魔の涙が落ちてきて謎のパワーを手に入れようと政府側の宰相的存在が悪だくみをしているんだけれどもひょんなことから悪魔の涙はエレキ隊の手に…というベタベタなお話です。

感想

正直、前半はつらかった。何がつらいって、ものすごーーーーくアニメ的なのです。物語の舞台設定も、キャラクターの設定も。これを舞台で人間がやる意味がよくわからないとずっと思っていました。
別にSF的な設定がいけないと言っているんじゃない。舞台は抽象表現が前提の世界だから、具象表現を前提としている映画なんかよりもずっとずっとSF設定に向いているのです。どこかに表現としてのスジさえ通っていれば、黒子の存在すらも許容する。それが舞台の現実認識。
ただ、いかんせん「人間」なわけですよ。主人公の4人は、あつくてかわいくてかっこよくて…でなくちゃいけないんだけれども。なんだろうな。それをわかっていてやっているのにできていない感?大見得をきって
「オレたち!エレキ隊だ!(バーン!!)(背中みせる)(バックサスあたる)」
みたいなことをされても、現実としてかっこよくない。
ここは、観客としては「かっこいいいいいいい」って思わせてほしいところなのに、まったくもってぜんぜんかっこよくない。ものすっごい冷めた目線で眺めていました。つれー。
ほいでもって物語が進むと、悪魔の涙から悪魔が生まれてきて、それが当然のように人間の女の子に育つんですけれども。これがまた可愛くない。こ、ここはー現実離れした美少女たんじゃないとハァハァできないーーーーーーーー!!!
ア ニ メ で や っ て く れ 
と百回くらい思いました。
これは私がアニメ大好きっこだから思ったわけじゃなく、一緒にみにいったアニメ分ゼロの友人もまったく同じことを思ったと言っていたので一般的な感想だと思います。これを理想通りにビジュアライズするなら、アニメ以外にはありえない。
キャラクターだけじゃなく、スライドで見せる字幕によって舞台設定を説明するあたりもなんというか、表現の放棄というか。なんのために舞台でやっているの?と思いました。設定を説明台詞で説明する以下だー。だいたい、そんな設定説明しなくても普通に現代国語の読解力をもって舞台を観ていれば破綻なく成立する世界観なのに…(これは本当に蛇足だったと観終わった今でも思います)と不満タラタラ。
ところが。
観ているうちに、なんだかグイグイとひきこまれていってしまったのですよ。
気づいたら、アニメでやってくれとは思わなくなっていました。一夜あけた今でも、この物語の最適な表現媒体はアニメだろうとは思いますが、そのことが気にならなくなるくらいには引き込まれてました。前半はキャラを見せることに終始しているのでキャラと役者とのギャップに「アニメアニメアニメ」と思ってしまうのですが、後半は物語に主軸が移ったのが良かったのだと思います。
最終的には、涙しながら観ていました。別に泣く舞台=良い舞台という判断基準は持ち合わせておりませんが。
後半、とくに悪魔ちゃんが覚醒してから以降は本当に良かった。自分たちが娘として育ててきた子を殺さなくてはいけないとなったときの葛藤というか、そのへんのドラマに時間をとりすぎという気もしないではないですが(何度も同じことをやるのはいくない)それでも泣けてしまった。
悪魔ちゃんのこともいつのまにかちゃんと可愛いと思えるようになってたよ。
あと、物語をきちんと畳んだところは素晴らしかったです。覚醒してしまった悪魔ちゃんは当たり前のように虐殺を繰り広げるわけなのですが、親代わりとして育てていた4人が
「この惨劇の責任は、親として切腹して取るから、この子を逃がしてやってくれ」
という展開はなかなか良いと思いました。ちゃんと腹の中にためているエレキ、とかいう伏線も前半にありましたし。若干理屈としてどうなのそれは、と思わないでもないですが、なんとういか、物語を畳むにおいて尻つぼみせずに幕を閉じるドラマを久々に観たな、という気がします。
最後の最後の布も効果的。NODA MAPの『キル』で泣いて以降、舞台上で翻る巨大な布というものがいかに感覚に訴えるものがあるかということに非常に敏感な私なのですが。そうじゃなくてもあの表現はなかなかのものだったかと。
あれは、月の海なのか。エーテルの海だったのか。

以下、こまごまとした感想箇条書き

・マコトかっこいいよマコト
ツンデレキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
・4人を捕らえたレジスタンスの女リーダー「ホシ」が「ごめんね」を言う練習をするシーン(ハイパーツンデレ)は正直、激烈に萌えた
・それを観ていた悪魔ちゃんの「ぐふふふふ」笑いも良かった
途中、お笑い芸人コンビが出てきたのは最高に面白かった
・毎度なんらかの形でああいうことしてるなら、絶対に次も観にいく
・それにしても、マコトとホシの関係が萌える
切腹を縄のぼりで表現したところは秀逸
・やっぱこのテの舞台には謎のダンスが入ってないとなー。いいよいいよ素人ダンス。(悪い宰相のおつきの二人のどっちかだけがダンサーっぽい動きしてたなー)
・殺陣が壊滅的に下手(そこはクラウディアが上だ)
・将軍さまおもしれー(演出家がやってました)
・マコトすげー萌えるんだけど、そのマスクとらないほうが絶対にいいぜ(演出的にな)
・私なら絶対に、マコトは喋らないキャラにする。そして、ホシとのキメのシーンでだけ取るんだ。でないと、あのマスクをもっかいつけるシーンが勿体ないよーーー。
・「かわいいお顔」設定のひとのモノローグ台詞はもちょっと減らすべき
・ホシの「私が止める!」が生きてないことが残念だ…
・止められないなら止められないで、もちょっと、な(群集で近寄れないとか、迫力に負けるとか、なんか拾いようがあっただろう)