『半落ち』 横山 秀夫

半落ち

半落ち

文庫落ちを待っていたわけじゃなかったのに文庫になるまで結局読まなかったなぁ。敗北。面白かったです。清く正しい親父小説。私は親父小説が大好きなので、素直に最後ボロボロ泣きながら読みましたけれども、親父小説に嫌悪感を抱く人にはむかないだろうなー。
梶さんを、親父たちみんながそれぞれの思惑を胸に、なんとかそっとしておきたい、言いたくないものは言わなくてもいいじゃないか、とかばっていくところが、なんとも本当に親父が親父の傷を優しく舐める親父小説っぷり。そこに「くーー」ってなるんですけれどもね!
妻を殺してから自首するまでの空白の2日間。てっきり聞き込みに聞き込みを重ねて推理してジワジワとみえてくる真相的小説だと思ったら、ちがったのでびっくりしました。時間軸は進行し続けているのに、視点が変わって行く構造も好きです。
以下ネタバレ

なぜ「自分が脊髄移植をした少年をみにいった」と言えないのかがわかりません。殺人犯の脊髄とわかったら迷惑をかけるだろうから、って、わからなくはないんだけど。うーん。
それだけが不満です。そこがキモですけれども。