『ぼくのともだち』 エマニュエル・ボーヴ

ぼくのともだち

ぼくのともだち

タイトル&表紙&帯の穂村さん買い。ともだちのできない「ぼく」のそりゃできねーよ、な日々。といってしまうとミもフタもない。
なんというか、不器用な「ぼく」の不器用さが既視感ばりばりで読んでいて痛々しくて辛い気持ちのほうが強くなってしまいました。わかる、わかるよ。その不器用さ。
その一方で心のどこかでこういう人を否定してしまうというか、どうにかして「変えてあげられないものか」というおこがましくて死んでしまえな気持ちが沸いてしまう体質でもあるので、理解してしまえる自分と、でも変わるべきだと感じてしまう自分とに挟まれて一層のこと辛かったです。
人間との距離を縮めたくてしょうがなくて、友だちや恋人がほしくてたまらないのに、常に裏切られ、そして裏切られないとなると自ら離れてしまう。孤独でいたくはないのに、孤独を選ぶともなく選んでしまう。その、活き活きとした生とは逆ベクトルにありながら、でも死も選ばない、その姿勢、生き様、予想されうる未来の見えなさ加減、全てが限りなく絶望に近いユーモアという感じでした(わかりにくいよ)。
これを読んで共感する部分や理解できる部分のない人は幸せです。そしてそれは缶詰工場で地に足をつけて働く人生の幸福と同じ種類の幸せだと思うのです。