『嫌われ松子の一生』山田宗樹
- 作者: 山田宗樹
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2004/08/01
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というか下巻を読む頃には松子を嫌いじゃなくなってた。うまい。
この本の最大の罠は というところです。これにはまんまとやられた。
この物語は、それまで存在も知らなかった叔母が何者かに暴行をふるわれて殺されたと知った大学生の青年が叔母の過去をさぐっていく、というちょっとしたミステリ仕立てになっているのですが、実のところはまったくミステリではありません。謎は提示されるし、その謎の答えも解明されるけれども、でもこの物語の主題は謎解きにない以上、これはミステリとは言えないと私は思います。
世間からみればどうしようもないような男に次々と惚れていく松子。男達のために風俗で働いたり、服役したり。松子はいわゆる「だめんず」というものそのものだと思うのですが、でも、そこには松子の愛がある。どんなに踏みにじられても輝く強さがある。松子は、自分の人生がうまくいかなくても、その理由を男に求めて責めたりはしないのです。ただただ前に進もうとする。そここそが、一番大事であって、だからこそ松子の死の真相がとてもとても重要な意味を持ちえる。
これは、恥ずかしい言い方をするならば、人が人として生きた、そういう物語ですよ。
それにしても、この文庫の解説を書いた人は本当にこの本をちゃんと読んだんでしょうかね。才媛であった松子の転落の人生を描いた小説、みたいな説明を書いてたよ。えええーっこの本のメインはそこじゃないだろーーーって驚愕しました。ネタバレせずにあとがきを書こうとした結果なのかもしれませんが。
とか、あつくなって書いてしまうくらいに、面白かったです。映画はたぶん観ないけどね!