『コールドゲーム』
- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/10/28
- メディア: 文庫
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誰にだって、イジメたりイジメられたりイジメをわかっていながら見て見ぬフリをしたりして過ごした時期があるはず。そんな記憶がグジグジと疼くような小説でした。
この小説の中でイジメた側の子たちは「自分達が過去にやったことは酷いことなことはわかっていて、だから謝罪する気はある」というスタンスです。でも、やられた側はそんなことで許す気なんて毛頭ないわけです。だって、取り返せないものだものね、苦しい辛い悲しい思いで過ごした貴重な中学生時代は。
学校生活を懐かしく思い出して、あの頃は良かったなぁなんて考えることのある社会人なら、誰だって心からわかるはず。その時間がかけがえのないもので、絶対に取りかえすことのできないものだということを。そこを振り返りたくないものにされちゃったんだものねえ。
この小説は、一貫して「イジメた」側から語られます。イジメっこ立場から語っているにも関わらず、イジメられた立場のことをちゃんと伝えるようにできている。そして説教臭くはない。
追い詰められて行く元イジメっ子たち。迫りくる元イジメられっ子。恐怖と、反省と、でもそれを「汚点」として隠そうとする心と。とてもうまいと思います。
とくに なところが好きです。さくっと読むには良かったです。でも「イジメ」という単語に過剰反応しちゃうタイプの人は読まないほうがいいかもしれませんね。心の健康のために。