『エイジ』重松清

エイジ (新潮文庫)

エイジ (新潮文庫)

これも面白かった。へーちゃんと中学生を書けるんじゃん、おっさん、みたいな気分。生意気ですみません。宮部みゆきじゃこうはいかねえな、とかいう意味不明(でもなんとなくわかるでしょ!わかって!)な比較してフムフムした。
ツカちゃん、タモツくんなんかも良かった。タモツくんはクールで頭も良くて合気道もできて、割とファンタジーな設定なんだけど、どこか詰めが甘いというか、ツカちゃんに詰め寄られて言葉を失ったりとか、まだまだ完全じゃないあたりがすごく「中学生」で良かった。うまい。
ツカちゃんが、健全ゆえに健全に追い詰められていった結果ナイフを持つようになって、でもちゃんとツカちゃんとしての自分を取り戻すのも良かったな。特に何があったわけでもないけど、時間とかクラスメイトとか、いろいろなことでちょっとづつ軌道は修正されるのさってのが。
全体的に女子がバカでいやなのだけれども(それは、作中の女子にキーってなるよりも、女子というものをそう描く作家にキーってなる種類のバカさ)でも、まあいいやと思う。中学生の女子コミュニティーはたしかにこんな空気で、私はそういうのが嫌いで見下しているさらに嫌な女子中2病だったので、まあ、あれです、がんばろう。
タカやんをツカちゃんがからかったとき、うるってきた。
あと、あれです。主人公をとりまく家庭環境が秀逸。あるよなーこういうの。って、何度も深くうなずいた。でも、ギターひかないのは私は切なくていやだな。そこはなんとなく義理を感じてやりたくないのに毎晩一応弾いたりしようよ。お父さん切ないよ(そんな描写ないけど)
登場人物たちも主題もキャラ付けも全部が納得というか、よくできた小説だなー。面白かった。うむ。