地獄少女

お前はどこの時間軸で生きているんだ感が否めませんね。やっと観たんですよ最後まで!
始まった当初はあんなにもクソだクソだと思っていたのに、タイムラグができてでも最後までちゃんと観ようと思わせるだけのものがあるアニメになっちゃうんだから、2クール以上のアニメは油断なりません。
はじめちゃんに婆ちゃんは何を頼んだのか、とか、はじめちゃんのあの姿で閻魔アイちゃんはせんたろうの心を本当に知ったのかとか(あのせんたろうが土かけるシーンは割とすごい瞬間だと思うんですよ)、あの寺にいた住職は巻き込まれて焼死しちゃったのかしら、とか、ひょっとしたら第二期への布石かもしれないと思うと第二期への期待が高まります。でも秋スタートかー。間に1クールしか休んでいない第二期は失敗しがち説がこわいよ。


しっかし、アイちゃんが不憫でならねーだー。6年間もあんな穴蔵で暮らしていて、しかもせんたろうしか来なくて超絶エロすでならねーだー。絶対やってる。絶対やってる(2回言った)。それで惚れるなというほうが無理。それだけに、村人に見つかった瞬間の、村人たちの怖い描写が本当に怖かったし、土をかけた瞬間のアイちゃんの絶望にも説得力が。
せんたろうが土をかけた理由には、禁忌を犯したことで村が飢饉におそわれているのかもしれない、という自分の罪の意識とか、家族を村八分にされるかもしれない、とか、自分の意志に反してでもやらねばならない「やむをえなさ」が根底にあるはずなわけで。はじめちゃんの流した後悔の涙と、せんたろうの後悔とじゃ、全然意味が違うんじゃないかって思うんだよなー。
はじめちゃんは、そもそもの原因は自分にあったにしろ、奥さんに浮気されて許せなくて追い返しちゃったらその帰り道に奥さんが事故ってそれに対して「オレは悪くない」って自分に言い聞かせていたけど本当は悔恨している涙なわけでしょ。あのときオレが追い返していなければーっていうのは、死んだ人の身内が陥りがちな心理で、そういう自分を責める心から立ち直らないと本当にその人の死を乗り越えたとは言えないって言うじゃないですか、よく(よく?)。で、まあツグミというスーパー救済システムがあって関係が補強されてメデタシなわけですけど。
せんたろうは、自分が自分の属する社会の正義に最終的には一瞬でも迎合してしまったことへの悔恨でしょう。信念をねじまげて保身に走ったことへの後悔と、誰かの死の受け入れのプロセスとして自分を責めるための後悔とじゃ、全然別物じゃないですか。あのはじめちゃんとツグミちゃんの姿をみて、アイちゃんが一体何を悟り寺を燃やすに至ったのか、そこが納得いかない。
まぁ「社会の正義に迎合したオレ悪くない」ってせんたろうが呟いていたとして、でもそうじゃなかったーってなって寺建てて、って考えれば、ツグミのスーパー救済=アイちゃんの寺放火って解釈可能なのかな。
誰かが誰かを呪うとき、地獄に渡す舟を漕ぐのがアイちゃんの罰でした、というのは色々納得。あの蜘蛛は閻魔大王かなにかかな。割とこまめなケアをしてるのね、閻魔大王様。で、あのお婆ちゃんは誰。
漫画版の一巻をみたら

人を呪わば穴ふたつ……いっぺん、死んでみる?

の前に

地獄って、あるのよ

というキメ台詞があって超絶ださくて面白かったです。あと漫画版は「呪いをかけた人も死後は地獄に行く」設定が甘くみられていてひどい。
これはアニメに軍配ですね。って思ったら地獄少女wikiによると

最終的に、あるスタッフが幸運にも講談社・なかよしの編集者と会う機会を得てこの企画の話をした所、編集者が興味を持ちアニメ化に先立っての漫画化が決定(後述)。その後アニメ化企画も息を吹き返し、「地獄少女」という稀有なキャラクターは世に送り出される事になった。

とのことなので、アニメとしての企画が先だったんですね。原作ってわけじゃなかったんだ。納得。面白かったです。