『リアルワールド』桐野夏生

リアルワールド (集英社文庫(日本))

リアルワールド (集英社文庫(日本))

この人の本はいつも女性4人だなーって思っていたらまんまと解説にも同じことが書いてあった。女性4人であることが多いけど、藤子不二夫方式に役割が決定しているわけじゃないところが面白い。ですよねー。
母親を殺した男子高校生ミミズと、ミミズに関わる女子4人の物語。
それぞれの章がそれぞれの視点で語られていて、私はその形式が大好きなのでウホウホなりました。秘密にしていることがある、とか、実はそれを見抜いている、とか、そういうのは楽しいね。ンでもって、そういうもののありかたがとても女子高生らしかった。
ただ、あれです。最近の私はめっきり年をとってしまって、たとえばラノベの中の若者の一人称思考が薄い皮膜一枚隔てたあっち側にあるようで肌で理解できなくなっているので、私が「女子高生っぽいなー」って感じたってことはすでに一世代遅い描写なのかもしれません。
なんにしろ、面白かった。

でも、車が事故ってキラリンが死んでしまって以降は、そここそが肝なんだと思いつつもイマイチでした。
取り返しのつかないことに絶望して彼女は死んでしまったけれど、でもその先にちゃんと取り返しはつくのに。絶望→自殺というのがいかにも女子高生ではあるんだけれど、それってあくまでも24年組的女子高生な気がしてしまって。
こういう、いまどきの子はそんなこと考えないんじゃないのーという偏見がすでに多分、時代の空気感からずれてるんだけどもナー。
超満足!ではないけれど、そこそこ楽しめました。わー評価してないみたいなシメになった。ちゃうねんで。