『さよなら妖精』米澤穂信

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

へー。こういう話だったのかー。いや予想外。大変面白かったです。
ただ、前の『リアルワールド』のときの感想に書いた「肌で感じる温度がもう乖離している感」はこれを読んで抱いたものでした。嗚呼、わからないな、っていうのがちょびっとあった。春期&夏期限定では感じなかったんですけれどもねー。
まあ、しょうがあるまい。面白いのだからヨシだ。

私のことをクールにとらえすぎだ、という静かな糾弾は良かった。ものすごく男子が女子に対して抱きがちな勘違いだと声を大にして言いたい。
なんで男には見えないものがあんなにいっぱいあるんだろうな。そして「見えてないよ」って言うと「見えてるけどあえて見えてないフリをして騙されてるんだ」とか小ざかしい言葉を返すんだろう。
そういうことをするから、本当に見せない技にたけている人たちはますます隠すのが上手になってしまうのに。
あ、なんかちょっと思春期っぽい語りが入ってしまった。でも、まあ、そういう気持ちにさせる本だったからヨシ。
(追記)
この本は、そういう思春期的な何かを愛するものであって、不快な気持ちになったりはしていないんですけれどもね。この人の書く青春ものは独特のタッチがあって嫌いじゃないけど、苦手意識がある。かもしれないな。