対談 細田守x小黒祐一郎

私的メインイベント。細田さんとアニメ様の対談。時間が短かったー。前回ロフトプラスワンでの人生相談がけっこう長くお二人のトークを聞けるイベントだったせいもあって、あまりの短さに足をバタバタさせました。
お話の内容は

  • 細田監督と原作『時をかける少女』大林版『時をかける少女』との出会い
    • 下記参照
  • 細田監督自身の高校生活はどの程度反映されているのか
    • 0%。まったくこんな生活とは無縁だった。でも、願望かと言ったらそうわけでもない。

などから

  • 長編映画を撮るにあたって今までの作品との差異は
    • 細田監督の得意な表現手法と言われている同ポジの持つ意味合いがちょっとちがう。いつもは、演出の計算としてやっているものだけれども、今回はタイムリープというものを表現する以上必然的に多用することになった同ポジなので。
    • マコトがハァハァ言いながら走り続けるシーン(長すぎるのじゃないか、と感じるギリギリなくらいに長い)の背景横スクロールの長まわしとか、映画としてただ物語を語るだけだったらなくても成立するようなエモーション描写のところに時間をちゃんとかけることができたのが、長編ならではの部分。
  • ○○は最後になぜ○○○○だったのか(伏字の字数関係なし)


千昭はなぜ最後にキスをしなかったのか、という質問でした。私は、そこを聞いてしまうなんて無粋だーと思ったんですけれども。細田監督のお答えは、下記ようなものでした。

    • なんでなんでしょうね(笑) でも、もし、あそこで千昭がキスをしてしまったら、真琴は芳山和子さんと同じように忘れられずにひきずってしまうんじゃないか。芳山和子さんは、結局忘れられずに待っている人で、それに対して真琴はそういう人ではない。だからですかね。

ということでした。

などの具体的なことまで多岐に渡っておりました。今回アニメ様は徹底的に質問役。
細田監督は当時ビデオで観たのでフィルム版の大林映画は実は観るのが初めて、とか、筒井作品をもともと読んでいたのでその延長線上で自然に読んだんだけれども、あまりにも他の筒井作品と違ってヒネていたりブラックだったりする部分がなくて逆に新鮮で驚いた、とか、80年代という斜に構えることがかっこいいとされた時代の中での大林版の気恥ずかしいまでに素直な原田知代がいかに衝撃的で素晴らしかったか、とか、とっても面白かったです。そういえば私も当時は小学生だったのですが、記憶にあるのは、映画そのものよりもむしろ、ゆうきまさみのエッセイ漫画の中の「原田知代は素晴らしい」というコマだったなぁなんて思いだしました。
あと、映画をみて友人たちと「あれはああいう意味かな」とか「この人のこれはこうだよね」とか語り合っていたズバリを質問されたのですが、「ああ、そこは正解を知りたくはないー観客の解釈にゆだねてほしいー」って思っていたら、ちゃんと細田監督が明言を避けてくださったのでまたしても惚れました。あそこをズバリ聞いちゃうアニメ様もすごいけど、ちゃんと答えない細田監督もすごいな。素敵だな。
そして、毎度思うんですけれども細田監督は本当にアニメが好きなんだなーって今回も感じました。

  • 監督として、今回のこの作品は何点ですか?

というちょっと意地悪な質問もあったのですけれども「監督だっていうことは、あらゆる部分のあらゆることに、それでOKですよってOKを出してるわけですから…」(だから、合格していない部分はない、常に100点です、というようなニュアンス)って仰ってて、会場から拍手が出たんですけれども、それを制して「いやいや、当たり前のことでしょう?」みたいなことを仰っていて、泣きそうになりました。かっこいい。


ここでいったん休憩。イベントも休憩。感想も休憩。