『第四の手』ジョン・アーヴィング

第四の手

第四の手

どえらい昔に私がこの本を読んでいたことを記憶していらっしゃる方もいるかもしれません。えへへ。やっと読了しました。いやー翻訳ものって読むのに時間かかるわー。正確には、読むこと自体に時間がかかるというよりも、一度読む手を休めてしまうと次にページをめくり始めるまでに数冊の日本語の本を通過してしまう。というわけで、2年越しくらいで読了。
ライオンに手を食べられちゃったニュースキャスターが手の移植手術を受けて……というお話。と書くとまるでSF小説のようですが、恋愛小説でした。面白かったです。
主人公の男が実に如才なく女性たちを口説き落とし(いや、落とすというほどの意識もない)ていく様があまりにも自然で面白い。もちろん、そんなふうに通過するだけでは終わらない人と出会うわけなのですが。出会ったあとも基本的に主人公の男性のその才能の発揮の仕方は変化しないのですよね。そこがいい。けれども…という。

私には正直言って、彼の子どもをほしがる女性の気持ちがわからなかった。NY的な、働く女性でありながらシングルマザーでもありたいという願望がイマイチ理解できない、のか、それとも、彼女は実は内心のところ子どもが出来たら主人公の男性が籍を入れざるをえないようになることを願っていたのかも判断できない、それくらいに、わからない。いや、どちらかといえば前者が強い両方の感情、といったところなのでしょうが。
あと、聞くだけで男性どもが総勃ちになるという彼女のなまめかしい声とやらを私もほしい、とひそかに思ってしまいました。
ああ、それから、NY的な女性たちに慣れた彼が、心惹かれているのは彼女の中の西アメリカ的な(多分つまりは朴訥としたというか飾り気のないというようなことなんだと思う。それは株券やら情報やらを商売にするのではなくて、農作業をして日々の糧を得ている人たちに心引かれるのと同じような感覚だろう)部分だ、と自覚している箇所がなんとなくいやでした。わかるけどさ。
私は恋愛小説を毛嫌いしているところがあるので、最初からそうだと知っていたら読まなかったかもしれません。でも読んでみた結果は、満足です。
あ、そうそう。セックス描写がえろいよ!(そりゃあまあセックスですからね) あと、写真にちょっと驚いた。な。