『無痛』久坂部羊

無痛

無痛

面白かったけど食いたりねーーー。面白い設定で面白い描写なのに、このページ数で終わっちゃうのかぁ。いや、まあ普通に長編ですけれども。なんじゃろな。各人「こういう人ですよ」って説明が終わったら、事件が起きて、終わりました的な印象が強い。もっと! くどいまでに納得いかせて! 100%やられたーって思わせて!
でも、人の見た目だけで病気がわかる医者二人、というのは面白かった。この二人の対決をもっとちゃんと見たかったし、この二人がそういう能力をもつってことをもっと生かしてほしかったなぁ。うん、不満はそこだな。

院長とサトミの描写とかあきらかに足りないだろーって思ったら、この終わり方。これ、普通に続編を期待していいんでしょうか。
上にも書いたけれども、せっかく二人の医師がもったいない。病院の、医師の在り方を問うのもいいけども、こう、二人とも病気に対するスタンスは同じなんだから同じ結論にたどり着いちゃうほうが説得力あったんじゃないかなぁ。奈美子の期待を裏切って為頼が白神に味方しちゃうとかさ。少なくとも、白神に理解を示しても良かったと思うんだ。白神はなんか心を病んでらっしゃいましたー海外逃亡ーてなことになっていたけれども、えーですよ、えー。
あと、なんで奈美子は「あーちゃん」って呼ばれていたのかが??? どこかに説明あったかなぁ。奈美子=あーちゃんはトリックの大事な部分なだけに、えーーってびっくりしつつ「あーそっかー」って思いたいのに、そっかー部分が弱くてモゴモゴしたまんまで読み進めることになりました。
これは全体的にそうだったなー。サトミも、無痛症の犯人も、一家惨殺の事件も、どうもモゴモゴって感じのままで終わった。後から後から「じつはこうでした」って説明がくるんだけど、どれもナルホド?って感じでなにかひとつスッキリしない。
あ、佐田だけはスッキリしたね! 想像するだに怖いけれども。
でも、まあ、読者も無痛で読めるわけですしね。