『ゲッベルスの贈り物』藤岡真

ゲッベルスの贈り物 (創元推理文庫)

ゲッベルスの贈り物 (創元推理文庫)

うううん。本屋のポップにひかれて買ったはいいものの、かなりガッカリ。まぁこれはポップが悪かったとも言える。
あとがきに

わたし自身、読者という立場だと「まったく思いもしなかった意外性」を求めてミステリーを紐解いておりまして、ほんのちょっとでも「思って」しまったら、意外性は九十九パーセント失われると思っています。

とあるんだけど、えーと、とっても予想の範疇でしたよ。いろいろと。


「さをりへあてて」なんて、もう読んだ瞬間にわかるじゃないですか。なぜそのことに主人公たちが気付かないのか、そのほうがよっぽど謎ですよ。そのための伏線でもあれば別ですけれども。
あと、まあ、これを言うのはアレかもしれませんけれども、今の私達はフルCGの美少女を現実と見間違えることはありえない、ということを知ってしまっているというのも問題だったのかもしれません。ドミノの謎が最初から最後までさっぱり謎じゃない。というか。古いSFの「今の知識をもってすればありえないけど、でも面白い」ことを考えれば、そこは理由にならないというか、要するにドミノの謎そのものが魅力に欠けていると考えるべきなんですよね。
まぁ、ポップがよりによってあとがきを引用してあおっていたから期待値が高まったのがいけなかったのですけれども。
全体的にパッチワーク的というか。展開のための人物ばかりなのもゲンナリしぎみでした。最後まで主人公の人となりがさっぱり掴めないしね。出てくる女みんな美人で全員によろっといっているっぽく見えるあたりも???です。現実にそういうものかもしれませんけれども、小説である以上そのへんはもうちょっと整理してくれないと。
というわけで、かなりの酷評。