『カブールの燕たち』 ヤスミン・カドラ

カブールの燕たち (ハヤカワepi ブック・プラネット)

カブールの燕たち (ハヤカワepi ブック・プラネット)

いやーこれは面白かった。恥ずかしながら、イスラム圏のことを私は本当に何一つ知らない。どころか、多分現代のイスラム圏を舞台にした書物を読むのすらこれが初めてなんじゃないかと思う。アッラーアクバルとか言うんだっけ? 一日に5回お祈りするのってイスラム? そんな感じのダメっぷり。
読んで良かった。
タリバンの統治下にあるアフガニスタンの首都カブールで生きる2組の夫婦の物語。なんというか、驚愕だ。あらゆることが。その生活が。その夫婦観が。その愛が。本当に衝撃だ。世界が違う。
なかなかない衝撃を受けることができる小説でした。物語としての展開も驚いたし、イスラムという世界にも驚いた。いやぁ、1円まで割り勘するか否かとかね、一緒にいる時に一人だけ本を読むか否かとかね、今日と明日どっちを大事に考えて生きるかとかね、価値観の相違でもなんでもないですよ。価値観が違うって、こういうことを言うんですよ。という単純で根源的な驚き。
ニュースを観ながら、あの土地の人たちは何を考えて生きているんだろうなーって思っていた。自分の想像力のなさをさらすようで恥ずかしいけれど、ボケっとそうボンヤリ思ったことがあるだけだった。当たり前のことを言いますけれども、そこには人が生きているのですよね。日々の生活が、そこにあるのですよね。当たり前すぎて言葉が滑るよ! 物語って、すごいなぁ。
読んだことない人は、ぜひ読んでみてください。薄くて読みやすいし!(ものすごい理由)(でもそれくらい薦めたい)