『パーフェクトプラン』

パーフェクト・プラン (宝島社文庫)

パーフェクト・プラン (宝島社文庫)

決してつまらなくはなかった、むしろ前半はすごく面白かった。のに、この「……。」な読後感は一体なんなのか、自分でもよくわかりません。
帯にあるあおりまんまの前半に対して、妙に情に走ったような後半のバランス感覚が私に合わなかったということなのだと思うのですが。
あと、各人の思惑がわかるのにわからなかった。ひどく薄っぺらで本当に思うところが別にありそうなのに、ない、ということが苦痛でした。
以下ネタバレ

俊成くんを返さなかったところからがこの物語の本番なのに、帯とかで期待していたものはその前に出て来てしまうので肩透かし感が残るというかアンバランスにみえてしまうんだろうな、と思います。もったいない。いっそのこともっと後半をウンと膨らませて、誰にも文句の言い様がない宮部みゆきのような人情物語にしてしまえばよかったのに!
それにしても、美しいホスト夏樹の当て馬っぷりだとか、その後の展開だとか、奥さんひどいな。窓に張り付いていたホラー描写のところでは思わず失笑が漏れてしまった。ジョジョジョー。
あと、引きこもりヨシュアがやたらと理知的な顔つきであることが強調されていたのは、あれはなに? 体操服で出かける美青年は割と萌えるというか、もうちょっとクレ!なにかを!クレ!という感じがしたのは、わたしだけ?
あと、コバルトブルーのパンツスーツが似合う美人刑事っていう発想とか、人物の細部描写の随所で「これ作者ヲタク?」って疑惑を持ってしまう本でした。まぁ、作家なんて多かれ少なかれヲタクですよねー!
そんなわけで、下手に出来が良いだけに物足りなくなる、という典型的な一冊でした。