『窓』乃南アサ

窓 (講談社文庫)

窓 (講談社文庫)

読みやすくてある程度面白いものを読みたくて買った一冊。正解でした。続編だったみたいだけど、続編であることが関係するのは一文だけで大勢に影響はナシ。
しかし「ある程度」だのぅ(えらそう)とか思ってしまう傲慢な読者であるワタクシなのでした。つまらないと面白いの間には越えられない壁が明白にあるけれど、面白いけれど大傑作ってわけじゃないという判断をされる物語と、これはすごいぜええええと思う物語の間にモンヤリとある壁は一体なんなんだろう。
まぁいい。
耳の聞こえる作家が耳の聞こえない人間の葛藤を描くということの勇気のことを考えました。『残虐記』の時に類似した被害者のことを考えたように。それはたとえば殺人犯の描写においても「作家にその経験がない」という点で同じはずなのに、いつもミステリーを読む時には考えない。私の中の差別発見です。ディスカバーわたし。
以下ネタバレる

個人的には聾学校の先生の描写がすごく好き。人はこういうものだと思う。
あと、主人公のFAX文通がやがて回数が減っていって自然消滅したというのもまたなんだかリアルで寂しいような良いような。
ものすごく個人的な萌えポイントとしては、聾唖者の男の子が、ぽてまよのやすみに思えてならなかったです。