『セル』 スティーブン・キング

セル(上) (新潮文庫)

セル(上) (新潮文庫)

セル 下巻 (新潮文庫 キ 3-57)

セル 下巻 (新潮文庫 キ 3-57)

ある日突然「それ」は起きた。「それ」が起きた瞬間から、携帯電話を使った人はゾンビになるようになってしまい……。というお話。主人公はもちろんそんなソンビ大国で正常さをキープしている中年男性。
前半はよくあるパニック脱出もので、キングだからそれなりに読めるんだけど後半どうすんのよコレって感じにだるかった。けど、後半は面白かったです。
行動を共にすることになるトムがゲイでそれがなんかすげーよかったです……。いや、ゲイ描写はほとんどなくて、一度だけカミングアウトしてくるだけなんだけど、こう、合流した子どもと疑似家族になっていった末に以下ネタバレ

ジョニージーを探すために別れてからの彼の「トムたちも自分のことを恋しく思ってくれているだろうか」って孤独を実感するところ、すごいものを感じました。勝手に。半端ゾンビの実の息子より、そっちが愛しくなってるーーーーーーー。
でもさー、仮にゾンビ化がワーム混入のプログラムでアレしているとはいえ、復元ポイントを脳が勝手につくっていたとしても、上書きしたら消去しあって保護されてた脳が……ってのはありえないざーな気がしますよ。
あとお友達に聞いた「元々の案では邦題が『携帯ゾンビ』だった」っていうのがすごく気に入りました。そのタイトルのほうがこの小説にはあってるよ。
これは映画にむいてる!と思うんだけど

アリスが脳漿をブチまけて死ぬシーンがあるから無理かな。あの死は大事だし。バラバラ死体が空を飛ぶシーンはちょっと映像でみてみたいんだけど。
飛行機が異次元に入るやつを読んだ時もそうだったけど、キングの書くお話は、最初のゴールにたどり着いてから「さて本当に解決するにはどうする」ってところをジックリ書くから疲れますね。そこからこそが本番って姿勢はすごく好きだし面白いんだけど、解決はご都合主義なんですよね……。……それ本当に面白いのか?うーん。キングスキーだからなぁ。ええと、キングを読んでみたいけど新刊だし『セル』にしてみようかしらー、という人はぜひ『IT』あたりを!
で、私思ったんですけれども

あそこに集まっていた人たちで本当に集合思念体がつくれないくらいの数になったんですかねー? なってないと思うんだけどなー。全米から集まったって数じゃなさそうだったし。
がんばれ主人公!(名前わすれた)