『虎よ、虎よ!』

面白かったー。
人類が「ジョウント」という瞬間移動できる能力への目覚め方を知ってしまった後の世界の物語。女性の貞操観念はガラリと変わり、セキュリティのあり方も犯罪のあり方も、全然ちがう世界。
主人公は、宇宙にたった一人で漂流することになってしまったフォイル。ジョウント能力は地上でしか有効ではないので、救難信号をだし、ひたすら孤独にくるかわからない宇宙船が通るのを待っている。孤独と戦うこと60日目のある日、ついに孤独の空間に宇宙船が現れ、フォイルの救難信号は受信された。にもかかわらず、なぜかフォイルを見捨てて船は去る。絶望し、怒り、フォイルは復讐のために生き延びることを決意する……!
というような始まり方のお話です。ああ、もう、面白かったなー本当に。ジョウント世界のシステムも面白いし、出てくる女性たちのフォイルへの複雑な気持ちの描写も面白い。

刑務所で助けてくれたのに見捨てられるジズも、ジョウントの教官でフォイルのレイプ被害者であり、完璧な上流階級の教師であるロビンも、フォイルを憎みかつ愛しているという描写のうまいこと!
でも、フォイルの気持ちをガッチリつかむのはアルビノのオリヴィアーーーーーー(ぎゃーごろごろごろ)しかも憎み続けていた敵ーーーーー(ぎゃーーーごろごろごろごろごろ)
という。とっても俗な面白さの末に待っているのがフォイルの大いなる目覚めだというこの壮大さ!

いやー。まさか宇宙ジョウントが不可能という設定がこういう方向になるとは。読んでいて鳥肌が立ちました。
寺田克也さんは大好きだけど、彼の顔の刺青は自分の中のイマジネーションで具象化したかった! とか言っておいてなんだけど、これアニメにしたら面白いと思うのよ私。
面白かったなぁ(しみじみ)