『ファミリーポートレイト』桜庭一樹
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/21
- メディア: 単行本
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前半の、コマコ不幸な幼少期偏は不幸すぎてというか、不幸な幸福っぷりが割と美しくて面白かったです。またしても絶世の美女かよって思いました。でもいいの。たぶんこれがすげー直球のこの人の業で、以前に某さんから「半端な美人だよ」と評されていた桜庭一樹本人のお顔をこないだNHKかなんかでチラリとみたらば、どちらかと言うと「痩せているというだけで若干美人扱いされる年増オタク」といった風情(喋り方の影響も大きいです)(これはフォロー)で、この人が圧倒的な美人をテーマにしてしまうという業はとても愉快だわ、と思ったから良いのです。
で、も。はい、ここからネタバレ そう、本は、小説は、物語は、誰かの堪え難い「夜」にそっと忍び込み寄り添って、救ってくれたりするものだけれど、そのことをこんなふうに物語ってはいけない、と私は思う。物語のもつ救済の力を語りたいなら、実際に読者を救済するような物語を書くべきで、救済しますよ、と書くべきじゃない。んじゃ、ないか。な。
と、割と散々な感じの感想です。買おうと思っている方は、自分の自意識をよーくかんがみて、桜庭一樹の自意識と相対して耐えられそうかを検討してみたほうが良いと思います。わたしは読了にすっごい時間かかりました、とだけ言っておきます。
あちこちで話題の『黒百合」をついに耐えられずに買ってきたので、これから読みます。どちらかというと『黒百合』自体を読みたいというよりは、その解釈の解説と、例の豊崎さんのアレを読んで関連の日下さんの文章などにも目を通したい、という出歯亀な感じの動機です。