Angel Beats感想

結論から言うと、私は満足しています。皆様いっせいにずっこけた「結婚してやんよ!」でもまだ諦めていなかったのですが、とある時点で、観る側の姿勢として開き直りました。なので、これはひどいな!うん!ひどいな!というある種の期待を微塵も裏切らないラストに「よーしよし!想定以上にひどい!うむ、よし!」という感じだったからです。
何もわざわざ、ひどいと思った理由をあげつらねる必要はないだろーというのが昨今の私の姿勢なのですが、なんか人と感想を話したりしていると集中力低下ゆえ言いたいことが言えないというか言いたかったことを見失うこんなお年頃じゃポイズンなので書いておくことにしました。古い。古いよ。ポイズンとか。


まず。前半にずーーーっと感じていた違和感、というものがありました。具体的にどうこうと書くのは難しいのですが

  • 死後の世界ですよーと言われてアッサリ受け入れるあたりからもう「んー?」と感じていた
  • あの集団の目的がいまいちわからない(神に反抗したいからって、天使と戦って……で?)
  • 授業を受けている風を装うとか、生徒会長を没落させるとか、なにそれ、おままごと?戦争ごっこ?だよね……???
  • よくわからないけど戦っている、その作戦がイチイチゆりっぺの思うがまま、というか。「〇〇〇ということは、すなわち×××ね!」という〇〇〇=×××の理屈が全然納得いかないままに物語が進んでしまってついていけないー助けてーーーー
  • ギルドもよくわかんねーな。要するに念じろ、ってこと?

というような感じで、あの世界はゆりっぺを中心に作られているようなものに思えて仕方なかったんですよね。ゆりっぺが言った通りに世界がなっていく、というか。
そもそも、あの世界はなんなのか、というのがよくわからない。
で、私は「よくわからないように描いているんだろう」と思っていたんです。違和感を感じるように作られているんだろう、と。(そしてこの考えは、最終回の最後の最後まで捨てきれずにいました)
で、みんなそれぞれに生きていた頃に大きな何かを背負っているということがわかったり、記憶がどうしたこうしたあったり、成仏したりなんだりかんだりし始めて、天使ちゃんも天使じゃなくて生徒だってわかって。で。ですよ。
ゆりっぺが、最初から知ってた風じゃないですか。天使ちゃんは天使なんかじゃないって。え?じゃあなんで戦ってたの?と。やっぱり、戦争ごっこでしかないかったってこと?
納得のいく理屈として、私は「やっぱりこれは、ゆりっぺの世界なんだ」と、思ったわけです。他の人たちの過去に比べても格段に壮絶な人生を送ったゆりっぺが作った、自分の魂を救済するための世界なんじゃないか、と。


だって、バンドのボーカルの子はともかく、寝たきりで短い人生を終えたゆいにゃんの願いの叶え方とか、あんな表層的なことでいいわけないじゃないですか(ないですか論法)。日向の「結婚してやんよ」は、ギャグとしては最高でしたけれども、冷静に考えてひどいもの。日向が本当にゆいにゃんに惚れていたというならともかく、成仏させるためだけに言った台詞なんでしょう?音無のやろうとしていることを手伝いたいがために。
そんな、そんな「ゆいにゃんという一人の人の生」を馬鹿にした話が「よいこと」のように扱われるなんて、この世界は、やっぱりなにかがゆがんでいる。
もはや、この「ゆがみ」は救済をゆがんだ形でしか考えられない、ゆりっぺの意識世界か何かだとしか、私には思えなかったのです。
これは全て、ゆりっぺの見ている夢で(もしくは全員がみている夢で)本当は誰も死んでなんかいなくて、生きることの意味や意義や、誰かが誰かを救済しようというおこがましさなんかを知って、地に足をつけて、それぞれがそれぞれの人生を歩みだすENDを迎えるんだ、としか、思えなかった。他には納得のいく解釈がなかったのです。



そして、その思いは最後の最後の最後の瞬間まで、消えませんでした。
だって、ほんの数秒の描写でことたりるもの。は、っと目覚めたゆりっぺが、朝日にむかって生きていることを感謝したりする、それだけで、意図は伝わる。そう、思ってました。



「そうはならないのか……?」と初めて本気で思ったのは、最終回のいっこ前の回で、ゆりっぺが平穏な教室にいるシーンを見た時でした。巷で言うところのエヴァ回ですね。あ、これ、やっちゃうんだ、と。じゃあ、もう、最後の最後のドンデン返しとして、今までの世界は嘘でしたー!っていう世界ひっくりかえす系は、ないんだ……?  ………まじで?
この、安っぽい救済の数々は、簡単に成仏していってしまう人たちは、本当の本気なんだ?


そんな、馬鹿な。


最終回、さっくり卒業式が始まってAパートが短くて、私はまだ「ああよかった、つまりBパートにもう1展開あるんだ。この世界はこのままでは終わらないんだ」って、思っていました。
ちがった。
ゆりっぺ、あっさり消えちゃった。こんな人生は私の人生じゃない、って否定した、あの平穏な教室での日常と、お姉ちゃんがんばったよ、って許してくれる弟妹たちとの差異はどこにあったの? 結局、受け入れたいことだけを受け入れたんじゃないの、それ。それでいいの? ゆりっぺが待っていたのは、結局、そんなことだったの? 違うんじゃないの? ねえ。ねえ!!!!! と、呼び止める間もなく、ゆりっぺは消えてしまった。これは、ゆりっぺの世界ではなかった。
じゃあ、これ、音無の世界か。そっちか。それもアリかなとは思っていたんだよ、うん。
音無くん、いきなり天使ちゃんと「ぼくたち永遠になっちゃお☆」的なこと言い出しちゃった。しかもいっぱい言い訳くっつけて。なるほどなー、と思いました。ああ、これは、ゆりっぺの世界と思わせておいて、音無のための救済機関だったのかー。そうよね、急にみんなを消すんだって、願いをかなえるとか、乱暴なことしだしたの、変だったものね! 自分のやっていることのおこがましさとか、不自然さに気付かないわけないものね! あなたが独裁者だったのなら、わかる!妹への罪悪感がああしてこうしてこうなって……おk!
そしたら天使ちゃんゴメンナサイして、その理由ってのが、心臓をもらった人だから、だった。最初に刺したとき、心臓がないってわかった、だって。
イミガワカラナイ。
心臓移植で生を長らえた人が、死なない世界だからって、心臓さしちゃうの?もしかしてそうやって、来る人全員の心臓を一通り刺してたの?とか、細かい疑問も多々ありますけれども、え? この世界は、こういう世界として、彼らがどうこうと関係なく「在る」の? そしてそして、音無くんは、その世界に一人で残った…の、よ、ね? 結局彼は、救われなかったんですね? それなら、それなら、まだ!まだ!なんとか納得のいく解釈の余地がなくはないかもしれなくもない!!!! 救済などというものはない! 神はいない!
って、思ってたら、EDで音無くんも消えちゃいました。なんか来世的な何かで、天使ちゃんに会ってました。


もうね、その生まれ変わりが交差点で会ってるのに感動できないとか、謝れ!!いいから神無月の巫女に謝れ!!!
ひどい!!!



いやー。ひどかった……(しみじみ)。



ちなみに、最終回はたまたま友人宅で友人2名(ともに女性)と一緒に観ていたのですが、私以外の二人はあまりのことにダメージを負ってリアルで膝を抱えて唸っておりました。
私は正直、「結婚してやんよ」と、あの平穏教室シーンである程度あきらめてオモロ一本に絞っていた部分があるので、ある種の満足を得てしまったのですが、二人は真面目に観ていたので本当に可哀想でした。


以上が私のABの感想です。
さきほどお会いしたアニメオタクのお友だちに「あなたがABを気に入らないのは、結局天使ちゃんENDだったからでしょ?」と言われたのがモヤモヤしていたのでここまで書きなぐりましたが、ちげーよ、というわたしのこの思い、伝わりましたでしょうか。