『ヴィーナスプラスX』

ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

大変大変おもしろかったです。
とある白人男性がある日ある時目覚めるとまったくの異世界で……という王道的SF。前半は、主人公の男性と一緒にその世界のことを知りたいなぜそうなったかを知りたい、という好奇心に背中を押され、後半は、ミステリ的というかなんというか、予想外の方向にドラマチックになっていくので「うひゃーーーーー」と倍速に加速して終了。実に満足で楽しい右肩上がりな読書でした。
途中『闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))』の作家と混同してしまっていて、ケメルがきちゃったらどうするんだろうこの人……というまったくもって不必要な心配をして一人どきどきしました。記憶力に障害があると読書もいろいろ大変だよ! とか思っていたら、あとがきでも「同じようにジェンダーを扱ったSF」として紹介されていたので、そんなに見当ハズレな混線でもなかったと不思議と胸を張る気持ちになりました。
そういや、インターネットがおうちになかったここ数週間に
2001+5―星野之宣スペース・ファンタジア作品集 (アクションコミックス)

2001+5―星野之宣スペース・ファンタジア作品集 (アクションコミックス)

を買って読みました。本当は違うものを探しにいったのですが、平積みされていたのを見たら買わないわけにはいかなかった。だって星野之宣は私のSF魂の父なんだ。
2001夜シリーズの単行本に収録されなかった作品や、未完のままになっている作品が入っているので最新の作品ばかりではないのですが、こちらも大変面白かったです。
というわけで、一人SF週間です。(でも今読んでいるのは『嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)』)(まだ100Pくらいしか読んでないけど松子が嫌いで仕方ありません)(この感覚で読み進んでいいものなんかどうか不安です)

げに恐ろしきは生活に溶け込むことなり

友人とも話していたのですが、常時接続環境が家にない状態だと、あきらかに「積む」度がさがりますね。特に如実なのが漫画*1でした。
常時接続していると、帰ってきてまずPCの前に座ってそのまま寝るまでなんかしらPCをいじったり徘徊したりしてしまうので、買ってきた漫画がそのまま放置される率が格段にあがります。今回引越しで数週間ダイヤルアップのみで生活してみてそれを痛感しました。漫画読むぞーってワクワクしながら買って帰って、わくわくしながら読んでました。ひさびさの感覚。
ここのところ漫画をあんまり読んでいないというか。唯一わたしが割りと精通している世界だった漫画のことすら疎くなってしまってもう私は終わりなんだわヨヨヨヨヨとかなっていたのをちょっと取り戻そうかと本気で思っています。
それでも常時接続が復活してしまうと「だから常時接続やーめよっと」とはならないのが恐ろしいところで、もはや、おはようからおやすみまでネットのある状態が日常であり、それを「なくす」という方向性には頭がいかないみたいです。
そういえば違う友人がmixiのことを「どんな仕様になろうとデザインになろうと不満とか思わなくなってきた。あまりにも日常のツールすぎて」みたいなことを言っていて、ああ確かになんでそんな機能つけるんじゃとは思っても、だからもうmixi使わないという方向にはまったく考えがいかないわけで、日常に一度溶け込んでしまうと人間はなかなか積極的に排除する方向にはいかなくなるもんだ、と思ったことを思い出しました。
こうやって人は知らないうちに全てを平板に貶めて退屈だ退屈だと呟くようになるんだなー。こえーなー(すみません思春期のような飛躍の仕方をしました)

*1:本の積み度はあまりかわらないのは、たぶん所要時間の違い