読書日記 『世界は密室でできている』 舞城王太郎

世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)

世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)

うわああ。すっごく良かった。すっごく。すっごく。ますます舞城王太郎が好きになっちゃう。ことこ、こまっちゃう。
青春小説との噂を聞いていたのだけれども、私が強く感じたのは、それよりも人間讃歌の部分。生きるって万歳。
告白いたしますが、わたくし、泣いてしまいました。わー。


<ここからネタバレ>


どこでって、ラスト。ルンババに、俺らが受け止めてやるからオメー飛べ、と主人公が言うシーン。生きていいんだ、信じていいんだ、と教えてやらにゃーいかんのだ!というその確信。その確信を、私は信じるよ!王太郎!!


密室がいっぱいでてきましたが、そのどれもこれもがアッサリとルンババに解かれていましたが、それがまた面白い。コネコネ理屈をこねくりまわしたりしない清清しいルンババ。素敵。
しかしハーケンクロイツて。
その絡みで奈津川家て単語も出て来ましたけれども、これは三郎の作品って解釈でいいのかな。


この小説では、いろいろなことの描写がすごく省略されていて、人物造型とか、下手したら脳内妄想の激しくありえないようなモノになってしまいそうなのに、そうならない。
これは舞城王太郎という人の書く文章に魂がこもっているからだ、と私は感じている。この人の言葉にはすごく力がある。
ジェットコースターのように改行なしで繰り広げられる文章の波に、揉まれたい!揉まれたい!そのままどこかへ連れてって!!という気持ちにさせられる。


でも、これが三郎の作品と考えると、この作品に魂を感じてしまった私ってなんなんだろう。ダメダメな垂れ流しミステリなのよね、三郎にとって、これって。

ああ、はやく奈津川ファミリーの小説が読みたい。
でも、その前に『九十九十九』だ。その前に清涼院だ。