読書日記『姉飼』

姉飼

姉飼

ホラー大賞受賞作品。表紙の絵のおそろしさと、帯の「君の姉は、さぞいい声で鳴くんだろうねえ」という言葉に釣られてみました。だって、だって。だって、だって。
えーと、内容は、うーん、いまいち。どうしてこれが大賞なんだろう。たしかに面白くはあったけど、大賞になる作品だとは思えません。
あらゆる道具立てが見事であるというのは認めますが、それ以外はこれと言って。あまり狂気も感じませんでしたし、そう残虐でもなかったです。ただ、脂祭だとか、姉の設定だとか、地名だとか、そういうのは本当に良かった。
私は大賞受賞した表題作よりも、『キュービックガールス』のほうが面白かったです。短編として設定も、オチも、かなり完成度が高いように思えます。気軽に書いている感が良かったのかもしれません。設定をかなり説明的に一人称で語るのですが、それも気にならなかったのでヨシ。
『ジャングルジム』も良かったんだけど、ラストがなー。まあ、ありだとは思うのですが。私はこの流れでいくならアホのようなハッピーエンドになったほうが好きです。ジャングルジムがやっちゃうっていうのはすごく面白かった。想像もつかねーよ。
ラストの『妹の島』(というタイトルじゃなかったかもしれない。これまた手元にないのです)は、んー、あんまり好きじゃありません。奥座敷にいる奥さんでしめるの?という謎な感じが。仕上げ一歩手前の構成のまま作品になったような印象でした。全体的には悪くないんだけど。皮下で育つ微小の虫の群れ、という設定は、永久不変的にきもいなあ、と思いながら読みました。ちょっといろいろ半端。