『チルドレン』 伊坂幸太郎

チルドレン

チルドレン

我慢しきれずに他の積ん読を放置してこちらを読んでしまいました。人生には優先順位というものがあるのだよ、諸君。文庫になるのを待ってなんていられないんだよ、諸君。
いいなあ。伊坂はやっぱり良いよ。今回は、悪人が出てこなかった。それが大変に私の好みだ。比較として悪人という存在は不要であるということがハッキリした。


<以下内容に触れます>


ていうかね。伊坂は何か父親というのものに特殊な経験か記憶でもあるのか?って思っちゃうくらい、父親に関する文章を書かせたらピカイチだと思う。もちろん天童みたいな、こう、心をえぐるような深いアレはないんだけど。なんて言うんだろうな。
何度も言うけど、伊坂の本は優しさに満ちているんだな。甘いし、浅いし、軽いかもしれないけど。でも、そこに希望とか優しさとかがある。
親父がかっこよかった、あの瞬間、明が照れながら爆笑した瞬間、泣けて泣けてしょうがなかったよ。


あとは、陣内という人格。毎度毎度、どうしてこうも上手に愛すべき破天荒な人を書けるんだろうな、不思議だ。永瀬はある意味で、書けるんじゃないかって気がする。自分にも(すごいこと言った)でも、陣内を書くことはできないよ。絶対に。無理だ。


とても良い一冊でした。優しい本は大好きだ。