『破線のマリス』 野沢尚

破線のマリス (講談社文庫)

破線のマリス (講談社文庫)

ヤマグチ(id:yamaguchi_nebo)がこきおろしていた翌日に、お父様から「これ久々に一気に読んじゃったよ、面白かった」と言って渡された本。本そのものよりも、そのことが面白くて、自分がどっち寄りの意見になるか、ワクワクしながら読みました。
結果は、むちゃ面白くはないけど、そんなにクソでもないね、という中庸なところ。えへ。でも、本当にそうなんだもん。どちらかと言うと、ヤマグチ寄りかな。途中ドキドキもするんだけれど、なんていうか、小説として、どっちの方向に進むのよ?感があって、それがイマイチ。フーダニットなの?ホワイダニットなの?え?みたいな。


以下、ネタバレ


ミステリーとしては、いただけませんね!灰色の男は結局なんだったのよ!と、私は思ってしまいます。大体、麻生と主人公の女の愛だのなんだのがビタイチ理解できねえよ。ラストの自分語りを放送しちゃうところも納得いかず。えー。こんなんニュース番組で出てくるのかよーみたいな。でもその編集している部屋を守る男ふたり、というのは萌えるシチュエーションですね。えへ。
でも、退屈はしなかったです。たしかに一気に読んだ。前半はかなり好きかもしれない。なにが謎で、どう解かれるのか、わからないあたりまでは。
主人公の女の主観にそって推理していって、それが間違いでしたーイヤあってましたーイヤ間違いでしたーの展開が、あまりに主人公の主観によっていて、しかも地の文にあまりに近いところに主人公の女の主観があるので、もちゃもちゃと持っていかれた感がぬぐえない。
ビデオの撮影者が息子でしたーっていうのは、なかなか好きなんだけど。息子の人格描写が足りないよね。ていうか。この人は人間が描けてません!(でたー)


あれ。かなりけなしてるなあ。一挙に読めたし、つまらなくはなかったんだけどね。絶賛はできないやね。