『イン・ザ・プール』 奥田英朗
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/05/14
- メディア: 単行本
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変人神経科医と患者たちのオムニバス。面白かったです。あっというまに読了。伊坂が好きな人はたぶん好きだろうな、これ、と思いました。伊坂のほうが寓話的。私は伊坂の寓話っぽいところが好きなので、二人を比較するなら伊坂支持ですが、この人も良かった。エロ看護婦が良かった。彼女の存在で魅力が2割は増してますね!
でも、読んでて爆笑はしませんし、生きる力もわいてきません。これじゃあ無理よ。軽すぎよ。
以下内容に触れます
一番印象に残っているのは携帯依存症の男の子の話。毎日何十通何百通とメールを送り続けていて、おかげで友達も沢山いて、人気者で。でも、携帯を手ばなしてみたら向こうからの着信は一コもなくて実は周囲は自分を求めてなんかいなかった、と気付く。
その痛々しさが想像されて読んでいて辛かったです。
ただ、その痛みがイマイチ伝わってこない感がありました。大人が描いた子ども像というか。どうもリアルじゃない。具体的にどこが、なのかはわからないのですが。嫌われているわけではないけれど、実は周囲は自分に無関心だった、ということの衝撃は、もっともっとこの年頃の子どもにとって大きな事件で、こんな、「本当の自分はネクラだったんですー!」と自覚して認めちゃうくらいのことでは乗り切れないと思う。
他の作品は、別段不満なく。毎度、精神科医がなにをしてくれるのか楽しみではあります。