『柔らかな頬』桐野夏生

柔らかな頬 上 (文春文庫)

柔らかな頬 上 (文春文庫)

柔らかな頬 下 (文春文庫)

柔らかな頬 下 (文春文庫)

面白かった。面白かったんだけど…どうもなんか消化不良感。なんだろうなー。この人の描く女の人というものは、たしかにある一面で真実というか、怖い面を書かせたらピカイチなんだけど。どうも、私には感情移入しにくいみたいです。
以下、ネタバレ読みたい方は反転ぷりーず

作中に何度も提示される、娘の行方不明の真相(本当は真相ではないんだけど)が毎度毎度うまくて舌を巻きました。どれが「本当のこと」として書かれていても納得してしまいそう。小説なんて、そんなものですね。
でもって、最後の最後の娘視点のエピソード、あれが本当のことなのかどうかは明かされず。一応私は本当のことと解釈していますけれども。み、みちゃってたーーー。という感じですね。そこでどうして娘が絶望して死を望むのかがちょっと理解不能。でした。
私が一番ぞくっとしたのは、旦那が全てを知っていた版かな。
私はふるさとから逃げたことがないので(当たり前か)主人公の持つ荒涼とした心象をいまいち理解できないのかもしれないなーと思ったり。ただ生き抜くことだけを考えている野生の女、というのは、なんというか、うーん、理解圏外なんだなあ、きっと。

不倫話は萌えました。正直。濡れました。べべべっそうの納戸でーーーー!!!みたいな。あと、刑事とのアレもね。わー。命削ってるー。しかも母親の店の二階でーーー。っていう。困った女だぜ。
生きていくということに向き合っていく物語なのだと思うのだけれど、私はどうもイマイチ好きになれず。面白かったんだけどもね!!!この物語で描かれている「女の業」というものにあまりリアリティーを感じることができない(これは多分個人的体験による)からなのかもしれない、とか思いました。