『火の粉』 雫井脩介
- 作者: 雫井脩介
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2004/08/01
- メディア: 文庫
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私はこういう多視点小説が、すごいすごい好きなのだと最近気付きました。こういう、ジワジワと人間の心理状態の描写とかから入られると本当に弱い。
有罪であるとするならば死刑、という被告人を「疑わしきは罰せず」で無罪にした裁判官。その裁判を最後に退官し、数年が経過したとき、隣にかつて自分が無罪にした男が引っ越してきた…
というのが出だしなのですけれども。本の紹介には、二転三転する疑惑!と続くのですが、この本の面白さはそれではありません!と断言。まあ、それも面白いんだけど。そんなことよりも、壊れていく家族の心理状態の描写です。その見事なこと。 満足です。雫井をもうちょっと読んでみようという気になりました。
あと関係ないけどこの文庫版は遠目に一瞬『夏への扉』に見える。だからなんだ。