『Q&A』 恩田陸

Q&A

Q&A

タイトルの通り、質疑応答だけで成立している小説。面白かったです。こういう、思いついちゃったーきゃっきゃ、みたいなワンアンディアで書かれている小説は大好きです。
読み始めた当初は、惨劇の経験者へのインタビュー形式であることもあって、村上春樹の『アンダーグラウンド』をなんとなく頭に思い浮かべていました。あきらかに別物なんですが。私の好みとしては、このまま淡々と普通の経験者へのインタビューだけでつづられていたほうが良かったなぁ、と。すっごく地味な小説になると思いますけれども、パズルのピースだけ提示されていて、はめこみかたはさっぱりわからなくて、でも全体を通して漠然とした恐怖感がある、みたいなほうが好きなんです。
この作品は途中から完全にエンターテイメント。後半はちょっとやりすぎじゃないかなー。

私としては、例の宗教絡みの話は「えー」という感じでした。最後ひどい。あと、前半でインタビューをする側だったタクシー運転手を始末しにくる謎の男。これもなぁ。エンタメとしては面白いんだけど、なんつーか、がくっと安っぽくなったように感じました。元インタビュアーが原因らしきことを口走ってしまっているのも私にはいただけません。
「原因を知りたい」という欲求は、この惨劇にかかわった全ての人と同様に読者も感じることで、でもそのカタルシスが得られないからこその恐怖なんじゃないかと思うんですが。
あ、あと、何がなんだかわからない頃は、スティーブン・キングの『霧』もちょっと思い浮かべました。私はかなりキングの『霧』が好きなので、無意識に比較して批判的になっているのかもしれません。
でも、面白かった。と言い切ることはできます。うんうん。