『邪魔』 奥田英朗

邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(下) (講談社文庫)

邪魔(下) (講談社文庫)

うはー。ひどかった。小説としては面白く読んだ。物語としてひどい。なんつー話だ。
『最悪』と同じく、同時進行していく数人の人生が絡み合って事態をおかしくしていく系統の物語でした。そういう構造が私の好みなので、そのへんは満足。特に、九野を中心とした刑事ヤクザ少年あたりは良かったです。少年たちがなんかどっかノホホンとして見えるのが救いだなー。
この物語の主人公は、いわゆる平凡な主婦というやつなのですが、その平凡な主婦が非日常というか、ちょっとづつ変化していく様がなかなか面白かったです。たぶん、それをやりたかった物語なので、そのへんのメインは美味しくいただけました。
以下ネタバレ感想

しかし、だ。いくらなんでもひどすぎねーかー。本当に一番の被害者はこの主婦だよ。最終的には「利己的な自分」に向き合って絶望してタイーホですよ。子どもたちがどうなったのかとか、すごい気になる。ひどい結末でした。ぷんすこ。ある意味『グロテスク』。
九野さんもひどかったなー。義母妄想もひどいと思ったけど、そこで早苗と重ねて、なお続くか!みたいな。
好きになれるキャラというものが極端に少ない小説でした。誰のことも心から応援できない。
最後まで退屈することなく読める良作でしたが、小説として物語を好きかと問われると、首をふらざるを得ない一作でした。