『プリズンホテル〈2〉秋』 浅田次郎

プリズンホテル 2 秋 (集英社文庫)

プリズンホテル 2 秋 (集英社文庫)

おもしろかったー。浅田次郎の文章はテンポが良くて読みやすいなぁ。読めば面白いことがわかっているのに、ついつい放置しておりましたプリズン・ホテルの2册目をやっと読了。とりかかってしまえば一日で読めちゃうくらいに読みやすくて面白い。わかってるよ。わかってるんだよ。
今回も、ヤクザの親分による涙有り笑い有りの幸せな一冊でした。
というわけで、ネタバレ的感想

さまざまな登場人物たちが、それぞれに問題を抱えて辿り着くプリズン・ホテルなわけですが。今回の私の心を奪ったのは、なんといってもミカちゃんでした。や、やべー。

せんせい、ごめんなさい。ミカのことぶってください。

やべーーーー。これ、健気な子どもギリギリアウトのラインじゃないでしょうか。お風呂に「お背中お流しします」とか言ってはいってきちゃうしさ。しかも小説家の先生も先生でその裸の肌の柔らかさにガーンとかしてるし。
いや、わかってますよ。メインはそんなことじゃないというか、本質的には「ミカのパパ」「お父さん」にあるってことは。そこで号泣しましたよ。でもー。それでもやばいー。
清子も富江も、なんだかんだ言ってしいたげられてはいても大人だし(あ、こんかい実母にむかって電話口で富江のことをかばうところも良かったですね)まぁなんかエロい遊戯の一種と捕らえることもできるというか、一種の母性ともとらえられるんですけれども……いやー。幼女はやばいっスね。
真野みすずや、なんとかナナの女性歌手たちのところは、うん、まあ、それも良かったけど仲蔵さんに色恋とか軽く嫉妬なのでわりと引きの目線で読みました。フンだ。
あとは、やっぱりナベ長ですね。仲蔵さんが背中流すところでどばっと涙が出ました。捕り物云々とか、本当はすごいオーラを持っててみたいなこととか、見逃したとか、そこは私にとってはどうでもよくて。むしろ、そういうんじゃない、本当に何もしていない交番のロートル警官に仲蔵さんがあの台詞を言って背中を流してあげるというシチュエーションだから良かったんですけどね。派手なことはなにもない、本当にただ毎日道案内をしていただけのお巡りさんだけど、ちゃんと見てたぜ、っていうの、良いじゃないですか。
だから、最後べつに華を持たせてあげなくてもよかったんじゃないかって思うんだけど。ああ、でも、あれですね。「わかっている人だけわかっていてくれればそれで良い」をヨシとしない姿勢というのは清清しくて正しい。うん、これでいいんだな。評価されるべき人を評価する正しさを、正しいと主張できるのは素晴らしいことだ。

文句なしに面白かったです。さて。冬はいつ読むかなー。