『シスター・スパイダー』 エイドリアン・フォゲリン

シスタースパイダー

シスタースパイダー

本屋で衝動的に表紙買いしたもの。ちょっと太っていて、運動ができなくて勉強もできなくて、あまり裕福じゃない家で祖母のミミと従兄弟のジョン・マーティーと暮らしている12歳の少女ロックスの物語。
設定としては暗いんだけれど、じめじめとした感じがしない。もちろん物語が暗い物語じゃないせいなんだけど、明るさの種類としてブリジット・ジョーンズに通じるものがあると感じました。ちょっと想定読者層は下だと思うけど、ブリジット・ジョーンズの日記を読んで面白かった人には肌が合うんじゃないかな。
物語の主軸は2つで、ひとつはロックスの母親に関する物語。もうひとつは、貧乏家庭にはいりこんでくるジョン・マーティーの恋人ルーシー(医者の娘)の活躍。
母親探しがメインと本の紹介なんかには書いてあるけれど、私はそうは思わない。これは、貧困層が脱出するための一歩を踏み出す物語だ。ルーシーの言っていることはきわめて正しくて、もちろん物語はそちらに進んでいくことはわかっているんだけれど、でもやっぱりちょっとドキドキした。だって、貧困だってハッピーならそれでいいじゃない的結論も物語りとしてナシじゃないから。というか、お金なんかないけど私達幸せENDのほうが可能性として高い。この生活を抜け出すためには勉強しかないんだとロックスを叱るジョン・マーティンの言葉は、ものすごく痛い。
別に何かと戦うわけでもないし、とりたてて大きな冒険をするわけでもない、衝撃的なまでに面白い本ではなかったけど、でもいいもの読んだなーという気持ちにしてくれる本でした。なんてったって、栞がかわいいよ。