『闇の左手』 アーシュラ・K・ル・グィン

とてもとても面白かったです。いつも読みやすい国産の本ばかり読んでいるので、翻訳文に慣れるまでの序盤がちょっと時間かかってしまうのですが、ノリ始めるとこのネチネチとした文章がたまりませんね。でもなんで私この本を買ったんだろう…って思いながら読み進めていたのですが、途中でわかりました。id:reriさんのオススメでした。なぜわかったのかは言うまでもなくアレだったからです。
いやーこれは良いアレですねー。こういうの、大好き!!アレってなんだよ、という方のためにネタバレしない程度にご説明しますと、とある辺境の惑星<冬>を訪れた使節(男性)と、惑星の人との物語なのですが、その惑星の人というのが性別が不定という……。
もちろんそれだけではなくて、色々と面白いのですけれども。まぁ、でも、ジェンダが重要なテーマの本だよな……。
以下、ネタバレします。

こういう、まわりくどい、積み重ねに積み重ねた結果みえてくる関係性というものが一番好きです。別にアレに限った話じゃなく。
そのあとにくる氷原を渡る追放者二人という圧倒的な孤独と、お互いしかいないという状況。それが終わったときに訪れた、安堵をはるかに凌駕する寂寥感。くー。ケメルがきちゃったときには「き、きちゃったー」って心の手が震えました。
なんかもう、最後数十ページとか泣けて泣けて。エストラーベンの名誉を思って泣いて、ゲイン・アイの孤独を思って泣いて、「為すべきこと」とはなんぞやと思って泣きました。
読み終わってから煙草二本分くらいの時間放心していました。きみはぼくの、光の右手。