『ロカノンの世界』 アーシュラ・K・ル・グィン

毎度書き出しが同じで恐縮ですが、面白かったです。先日読んだ『闇の左手』と同じシリーズでした。辺境の星に使わされた連盟からの使者たちの物語。この世界観を読みたくなったら、ハイニッシュ・ユニバース年代記ってシリーズを追えばいいんですね。『闇の左手』では「使者は一人であるのが最良だ」ということになっていたのに対して今回は集団で来ていたので、この作品と『闇の左手』の間に何かそういうエピソードもあるのかしら、とワクワクです。
こういうの、だーいすき!
何が良いって、使者として星に来ている人間の圧倒的な孤独が良いです。もちろんそこにはその星の人間との交流やら友情やら微妙な男同士の友情やらがあって、基本的には忠誠心や友情の物語になっているのですけれども、それでもやっぱり「種として一人である」というのは拭い去れない事実なわけで。
『闇の左手』では使者は星の住人に近づいていったわけですけれども、この作品では最後までロカノンは使者であったように思います。

ロカノンが手に入れて持ち帰ったという心話の能力(というか技術)は、復讐のために授かったものだったんですね。なるほど。しかし、復讐を遂げたロカノンの心に入ってきた、敵たちの阿鼻叫喚の心の声を思うとたまりませんね。
風虎がいいね。乗ってみたい。