『友がみな我よりえらく見える日は』 上原 隆

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

読み終わってから、なんとも言えない気分になる本でした。マンションの5階から酔っ払って落ちて両目の視力を失い頭蓋骨が陥没した男性。母親に「整形するかい?」と言われたことのある女性。登校拒否をしている若者。才能がないと主催者に言われてもやめることのできない女優。
この本に出てくる人たちはみな、生きていて、いや、当たり前なんだけど、なんていうか自殺をしていない、という意味で生きていて、そのことに単純に敬意を表してしまう。いやーこの言い方はまずいかな。自殺を考えてもおかしくないのに、みたいに読めちゃうな。ちゃうねん。あーいま疲れていて言葉がみつからない。いや、いつもみつからない。言葉はいつも……なんでもない。
人は生きていくようにできているものなのだな、という。ええ本でした。