ブロークバックマウンテン

いやー。なんか、もっと、こう美化されたホモ世界を妄想して行ったので、観終わってそのシビアさにどっかりとへこみました。というか、なぜか、どこで誤解したのか、イニスが幼い頃を過ごした村にいたという男性二人暮らしのカウボーイ、その話がこの映画のメインストーリーだと思い込んでたのですよ……。ちがった……。もしもそうであったなら、感情の持って行き場があったというか。無理解なり不条理なりに対して怒りを抱いて終わったと思うのですが、そんなに単純じゃありませんでした。終わってから抱いた負方向の感情をどこに対して抱いているのか自分でも把握しかねるような。
とてもいい映画だったと思うのですが、ラストのイニスの「永遠に一緒だ……」は承服しかねる感じです。でもそれのどこが納得いかないのか、ここにきてそんなロマンチストみたいなことを言い出すイニスに腹を立てているのか、どうにもならなかったであろう二人の運命に腹を立てているのか、それすらもよくわかりません。
ジャック=ジルベール、イニス=セルジュ、みたいな短絡的な変換を脳内でしてみたりもしました。もちろんセルジュとジルの二人がもしもそのままに大人になっていたら、という仮定の元にですけれども。世間との折り合いをつけながら生きていこうとするイニスと、それでは我慢ならないロマンチストのジャック。
どうせ滅びる運命ならば、ジャックの夢を叶えてあげたかったなぁ。家族に告げられる、ジャックの相棒の遍歴っぷりが悲しすぎました。でも二人で牧場を始めたとして、世間に白い目で見られて憎みあうようになっていったりするのも切ない話ですね。共に生活するということは、愛しあうだけではすまなくなるということだから、美しいままではいられない。
不器用イニスがあの後の人生で、トレーラーハウスに迷い込んできたジャックそっくりの家出少年に出会ったりしないように祈るばかりです。

He was a friend of mine.